- 2020年9月 3日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:タイ
- トピック:
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タイ当局が、国に批判的なフェイスブックグループの閲覧制限を求めたことに対して、フェイスブック社は8月25日、当局の要請に応じる意向を発表した。
フェイスブック社は人権擁護を標榜する一方で、またもや当局の圧力に屈し、オンライン上の表現の自由を制限する悪しき前例を作ってしまった。同社は当局の恣意的な閲覧制限の要請に対して断固、抵抗すべきだ。マーケットシェアはともかく、人権だけは、決して譲ってはならないのだ。
同社は閲覧制限に応じるのは不本意だとして、当局に対し法的手段を取ることを示唆している。提訴は歓迎すべきだが、閲覧制限による悪影響がすでに出ていることからすれば、そもそも、当局の要請に応じるべきではなかったと言える。
また当局は、同社に対し要求に協力しなければ法的措置を取ると脅しをかけたが、この脅しも、オンライン上の表現の自由に対する攻撃に等しい。
これまでも当局は、あいまいで威嚇的な表現を使った法律を次々と導入し、適用してきたため、ソーシャルメディアを利用する人たちの不安は、高まるばかりだ。
当局は、インターネットか街角かを問わず、国に批判的な市民に対する嫌がらせをやめるべきだ。政府は、抗議の声をあげる市民との対話に応じ、集会と表現の自由の権利を尊重する姿勢を示すべきだ。
背景情報
フェイスブック社の広報担当者は8月25日、「タイ当局の要請は、国際人権法に違反し、市民の自由な発言に重大な影響を及ぼす。当社は、インターネットのすべての利用者の権利の擁護に取り組んでおり、当局の要請に対し法的手段を取る準備を進めている」と述べた。ただ、「法的手段」が具体的に何を指すのかは、明らかにしなかった。
アムネスティは、この4月に発表した調査報告書で、タイ当局が、政府や国王を批判するソーシャルメディアの利用者に対して、国を挙げて取り締まりに乗り出していることを明らかにした。
同じ4月には、ベトナムでも同様の動きがあり、フェイスブック社は、政府に批判的な投稿の削除を求めるベトナム当局の要請に応じたと発表した。
アムネスティ国際ニュース
2020年8月25日
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