タイ:歴史的な同性婚法案 LGBTIの権利に希望の光

  1. ホーム
  2. ニュースリリース
  3. 国際事務局発表ニュース
  4. タイ:歴史的な同性婚法案 LGBTIの権利に希望の光
2023年12月26日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:タイ
トピック:性的指向と性自認

タイの国会で同性婚を認める法案が提出された。

可決されればアジアで3番目に同性婚が法的に認められる国となり、タイにとってアジア地域でのLGBTI(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー、インターセックス)の人びとの権利のために確固たる前例を示す機会となる。法案と法案をめぐる国会審理は、完全な権利保護への道のりはまだ長いとしても、アジアにおけるLGBTIの人びとの希望の瞬間となるだろう。

法案の最終版は骨抜きにされずに、LGBTIカップルの養子縁組や相続の権利、異性カップルと同等の配偶者としての同性カップルの法的承認など、家族生活に対する権利の全領域を求める声に応えるものでなければならない。

LGBTIの活動家が体系的に示してきたように、LGBTIの人びとの権利を拡大する国の取り組みは、国際法で保障された平等な権利を確保する上で十分とはいえない。今回の法案により、タイは過去の過ちを正す新たな道を拓くことになる。

人びとがいかに平等を切望しているかを考慮し、タイ国会は、法案が第一読会で可決された場合、その勢いに乗り迅速な法案の採択を優先すべきだ。国会議員はLGBTIの人たちに対して、彼らの声や願望、考え方などに耳を傾け、そのいずれをも尊ぶ姿勢を示していく必要がある。

世界各国で時代遅れの法律が見直され、包括的な社会が築かれつつある今、今回の法案が成立すれば、近隣諸国のみならず全世界に対し結婚の完全平等の保障の意思を示すことになる。

背景情報

12月21日、タイ国会の下院は、内閣、野党の前進党、複数の市民団体が提出した法案の審議を開始した。法案が可決されれば、同性婚が法的に認められる。法案の成立までには、複数回の読会と承認を経る。この読解の実施期日は明らかにされていない。

アムネスティは、LGBTIの人びとの結婚を含めた諸権利を保障する法律を支持し、各国議員が国際人権基準に沿った法案に合意するよう働きかけている。

2015年、タイ国会でLGBTIへの不当な扱いをはじめとするジェンダーに基づく差別への法的保護を目的とする男女平等法が成立した。だが、同法は依然として宗教上の理由あるいは国家安全保障上の理由を挙げてLGBTIへの差別を正当化してきた。また、トランスジェンダーやノンバイナリーの人びとが、公的な肩書きや性別の変更を認める法律もいまだにない。

同国の憲法裁判所は2021年11月、男女間でのみ結婚を認める法律は憲法に違反しないとの判断を示した。一方で同裁判所は、「国会議員は人びとの性の多様性の権利を保障する法案を起草すべきだ」との見解も明らかにした。

アジアで同性婚を認める動きとしては、2019年に台湾が初めて合法化した。今年、2番目となったネパールでは、11月に地元当局がLGBTIカップルの最初の婚姻を登録した。

アムネスティ国際ニュース
2023年12月21日

英語のニュースを読む

関連ニュースリリース