ドイツ:シリア元治安職員に人道に対する罪で実刑判決

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2021年3月 4日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:ドイツ
トピック:地域紛争

(C) AFP via Getty Images
(C) AFP via Getty Images

ドイツのコブレンツ高等裁判所は、人道に対する罪に問われていたシリア治安機関の元職員イヤド・アル・ガリブ被告に実刑4年6カ月の判決を言い渡した。元職員は、ダマスカスの収容施設に収容されていた反政府デモ参加者の連行に関わり、拷問を幇助したとされている。

判決は、シリア当局の職員が犯した国際法違反の罪に対する初の司法判断だ。何年もの間、真実と正義を求めて闘ってきた拷問や強制失踪の被害者ら数万人にとって、判決は、一筋の光明となる。また、シリア内外の国際人権団体や告発団体が、犯罪の捜査や立件を支援してきた。彼らの手助けがなければ、今回の公判もなかっただろう。

10年前、アサド政権に対する抗議運動が始まって以来、政権は、収容施設や刑務所に収容した自国市民に拷問を加える仕組みを維持してきた。一方、国際社会は、シリアの収容所内で行われている言語道断の行為に対し、当局者の責任を問うなどの具体的な行動を取ってこなかった。

今回の公判は、重大な犯罪を犯せば法の裁きを受ける、というシリア政権へのメッセージでもある。他の国もドイツの例に倣い、戦争犯罪など国際法上の罪を犯した疑いがある個人を捜査・起訴し、普遍的裁判権に基づき自国の裁判所で裁くべきだ。

また、国連安全保障理事会は、シリア市民に対する人権侵害事案を国際刑事裁判所に付託し、政府高官や司令官はじめ、犯罪に関与した関係者全員を裁判にかけなければならない。   

背景情報

イヤド・ガリブ被告とともに刑事告発されているのが、同じく治安機関の職員だったアンワル・ラスラン被告だ。昨年2月、ドイツで逮捕された2人は、治安機関の収容施設でも特に悪名高いダマスカスの「251支部」の収容者への拷問をめぐり、人道に対する罪に問われている。

この10年、アムネスティは「251支部」を含むシリアの治安機関施設内で行われてきた虐待や拷問の実態を調査・告発してきた。武力紛争の中で行われてきたこれらの違法行為は、国際法の戦争犯罪を構成し、民間人に対する大規模で組織的な犯罪であるため、人道に対する罪でもある。

アムネスティ国際ニュース
2021年2月24日

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