- 2021年6月16日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:イスラエル/被占領パレスチナ地域/パレスチナ
- トピック:
(C) HAZEM BADER/AFP via Getty Images
イスラエル当局は、パレスチナの保健医療NGO、HWCに閉鎖命令を言い渡した。これは、被占領パレスチナ地域の人びとが必要とする医療に重大な影響を及ぼす。
6月9日未明、イスラエル軍は、ヨルダン川西岸の都市ラマッラーにあるHWCの本部を急襲した。入り口のドアを破壊して押し入り、パソコンやメモリーを押収し、HWC に6カ月間の閉鎖命令を言い渡した。
HWCは、被占領パレスチナ地域の主要な医療の担い手の1つで、病院や医院を運営し、恵まれない人びとや過疎地の人びとに医療を提供してきた。また、新型コロナウイルスとの闘いの最前線に立ち、さまざまな取り組みをしてきた。保健衛生の意識を啓発する活動、公衆衛生上の指導、医療施設での新型コロナ感染患者の対応、過疎地住民の遠隔診療などだ。また、パレスチナの公衆衛生制度の改善に向けた草の根の啓発活動にも取り組んできた。
HWCは、軍事部門を持つパレスチナの政党パレスチナ解放人民戦線との関係を疑われ、これまでも、繰り返しイスラエル当局の標的となり、職員が嫌がらせを受けたり拘束されたりしてきた。
エルサレムの事務所が2015年、当局の命令で閉鎖された。今回閉鎖されたラマッラーの本部は、2019年10月に家宅捜索を受け、財務責任者が拘束され、今年3月には職員2名が拘束された。今回の閉鎖は、当局がパレスチナの民間組織への弾圧を拡大する中でのことだった。
HWCの本部が閉鎖されたことで、パレスチナ人の医療サービスは、重大な危機に直面する。本部で行われてきた女性の保健衛生の促進プログラムも、止まっている。
占領者としてのイスラエルには、すべてのパレスチナ人の健康を含む権利を保護する国際法上の義務がある。だが、これまでのところ、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)の中、当局は、ワクチン接種でもパレスチナ人を差別する政策を推し進め、本来の責任をまったく果たしていない。
イスラエル当局は直ちにHWCの閉鎖命令を撤回し、医療従事者への嫌がらせをやめなければならない。また、深刻化するパレスチナ人への差別と抑圧をやめるべきだ。
アムネスティ国際ニュース
2021年6月9日
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