カメルーン:英語圏での平和的な抗議活動などで100人以上が収監

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2022年2月 2日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:カメルーン
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カメルーンではこの5年間、英語圏出身の記者や活動家、英語圏を支持する政党関係者などの拘束や投獄が相次ぎ、同国の人権状況は悪化の一途をたどっている。

英語圏2州(北西州と南西州)出身の記者や人権活動家、同地域の最大野党カメルーン復興運動(MRC)の幹部らあわせて100人以上が、表現と集会の自由の権利を行使して拘束され、今も刑事施設で過酷な日々を送っている。拘禁中に暴行や拷問を受けた人たちもいる。

拘束された人たちの大多数は、国際法に反して軍事法廷で裁かれ、反テロ法違反の罪で刑罰を受けている。

アムネスティはカメルーン当局に対し、政府を批判する発言や集会を開いただけで収監されている人たちを、即時無条件に釈放するよう求める。そして、彼らの釈放を求める運動を始める。

また、アムネスティは当局に対し、長年デモ参加者の処罰に適用してきた、抑圧的で適用範囲が過度に広い反テロ法の廃止を求める。

拘束後の凄まじい拷問

フランス語圏優位の同国では少数派である英語圏地域で、2016年後半、政治や社会経済での差別的な扱いに対し抗議し権利拡大を求めて、法律家、教師、人権活動家など数千人がデモに参加した。

その後、分離独立を求める勢力と治安部隊との衝突が激化し、危機的な状況が続いている。この5年間で千人以上が拘束され、今も投獄が続いている。彼らは現在、ブエア(南西州州都)、ヤウンデ(中央州州都)、ドゥアラ(リトラル州州都)、バフサム(西部州州都)などの刑務所に収監されている。

アムネスティが得た証言で、拘束されている人たちの多くは、外部との連絡を断たれ、何日も食事や水を与えられず、水責めや爪剥がしなどの拷問を受けていることがわかった。

2018年には、8人が反テロ法に違反したとして長期の刑を宣告された。8人の中には、2016年のデモに参加して拘束され、実刑15年を受けた記者もいた。恣意的拘禁に関する国連作業部会は昨年5月、この記者の収監は不当だとして釈放を求めた。

高校の教頭をする男性は、2017年に拘束され、実刑12年、罰金1500万CFAフラン(約300万円)を言い渡された。罪は、反テロ法の分裂、反逆共謀、テロ資金の提供などだったが、その根拠は、「西部カメルーン人を支持する」(西カメルーンは英語圏2州を指す)「私たちはカメルーン人、過激派じゃない」などと書かれたTシャツを着ていただけだった。

非英語圏からの独立を主張する分離派の南カメルーン党の党員で抗議デモを組織する男性は、2016年に拘束され、テロ擁護、殺人未遂、公共財破壊などの容疑で起訴された。しかし、軍事法廷での審理が何度も延期され、拘束後5年経った今も勾留が続いている。北西州バメンダを拠点にデモや記者活動をする男性は、テロ関連罪で15年の刑を受けた。

摘発対象になった野党と市民社会

今年1月15日現在、少なくとも107人のMRC関係者と支持者が、拘束されている。その中には、地方選を前にした2020年9月に、地方選挙の実施法、特に英語圏に対する差別的な手法に抗議するデモに参加した人たちもいる。

昨年12月、軍事法廷で50人近くが、騒乱、反逆、国家の治安への脅威などの罪で実刑判決を受けた。
MRCの報道官、第一副党首、もう一人の幹部が、それぞれ「革命と反逆」、「革命、反逆、集会」、「革命と反逆の共謀」で実刑7年を言い渡された。他のMRC支持者は、1年間の留置後、釈放された。

反乱、集会、デモなどの罪で実刑5年を言い渡された女性は、拘置中に手洗いを認められず、警官から性的暴力を受けそうになったという。MRC支持者の多くは、拘束中に警官らから殴打や水責めなどの拷問を受けた。刑務所内で拷問を受けた人たちの中には、どんな拷問を受けたかを列挙して釈放を求める手紙を書き、軍事法廷の裁判長に宛てた人たちもいた。

表現と集会の自由の権利に対する徹底した弾圧、拘束された人たちへの暴力、軍事法廷での審理などから、政権批判に対する当局の弾圧が、さまざまな局面で日常化していることがわかる。カメルーン政府は、この容赦ない弾圧に歯止めをかけなければならない。

アムネスティ国際ニュース
2022年1月24日

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