ウクライナ:ロシアのウクライナ侵攻は侵略と人権破滅の行為

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2022年3月11日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:ウクライナ
トピック:

ロシアのウクライナ侵略は国連憲章の明白な違反であり、国際法の犯罪である侵略にあたる。アムネスティは、この犯罪に関与したすべての者に対して、違反行為の責任を負うよう求める。侵略の罪においても、ウクライナ侵攻を際立たせる数多の犯罪においても、関与した者はその個人的、組織的責任を問われるべきである。

アムネスティは、ウクライナ危機の深刻さを強調し、国連加盟国に対し、いかなる国の領土保全および政治的独立に対する武力行使を禁止する国連憲章を支持し、擁護するよう求めた。武力行使禁止の唯一の例外は、自衛と国連安全保障理事会が認めた力の場合だが、今回の危機にはどちらもあてはまらない。

国際法の下では、すべての国が、平和的かつ、世界の平和、安全保障、正義が脅かされない手段で、国際紛争を解決する義務があることも強調しておきたい。

ロシアのウクライナ侵攻は深刻かつ重大で、武力侵略以外の何物でもない。ロシアは、ウクライナ中心部に侵攻しており、合法的に選出された政権を追放しようとしている。民間人の生命、安全、福祉に対し、現実に、そして潜在的にも、大規模な影響を与えている。その行為はロシアが提示したいかなる根拠に立っても、到底正当化できるものではない。さらに問題は、ロシアが国連安保理の常任理事国だということである。

ロシアは明らかに国際的な義務に違反しており、その行動は、国連設立時の規則と原則にあからさまに反している。国連の全加盟国は、この行為を明確に糾弾すべきだ。ロシアの目にあまる対応が、他の国々に追随を促すようなことがあってはならず、また、そのような行動を抑制する国連の能力が損なわれてはならない。

ウクライナへの侵攻を開始した2月24日以来、市街地やインフラを無差別に攻撃して民間人の死者を出すなど、ロシアによる人道法と人権法の違反行為が増えている。アムネスティは、この事態を調査で明らかにしてきた。

病院や学校などの保護対象施設への攻撃、弾道ミサイルなどの無差別殺傷武器やクラスター爆弾などの禁止兵器の使用は、すべて戦争犯罪に該当する可能性がある。

国連加盟国は、ロシアが犯した侵略という犯罪を糾弾するために、また、避難民を含むウクライナの人びとの救済と支援のために、共に立ち上がらなければならない。さらに、国連加盟国は、ロシアの武力侵略により、世界が、暴力、人権侵害、不安に満ちた状況に追い込まれないようにしなければならない。

1週間足らずの間に、ロシアのウクライナ侵略は、大規模な人権と人道と難民の危機を引き起こした。この危機は、近年の欧州で最悪の大惨事である。ロシアは隣国とそこに住む人びとの主権を侵害しただけでなく、世界の安全保障構造に挑み、機能不全に陥る国連安保理を含む、その脆弱性を不当に利用している。この結果は、私たち全員に長期的な影響をもたらす。私たちは、武力侵略と国際法違反がそのような事態を引き起こすようなことを決して許してはならない。

2月28日に、国際刑事裁判所(ICC)の検察官がウクライナで捜査を開始するつもりだと発表したことを、歓迎したい。この捜査により、ウクライナで行われた戦争犯罪と人道に対する罪の加害者全員が、上級職、最高責任者含め、個別に責任を問われることになる。

アムネスティは、ICCのすべての締約国と国際社会全体に対し、同裁判所の捜査への協力を求める。捜査は、単独ではできない。ウクライナにおける今回の問題の包括的な責任を問うには、国連とその機関の協調的かつ革新的な取り組みと、普遍的管轄権の原則に基づく国レベルでの取り組みが欠かせない。

初期段階においての証拠の収集と保全は、今後捜査を進める上で極めて重要である。とりわけ、戦争犯罪の犠牲者が増える中、被害や損害を必ず補償するという国際社会の決意を示さなければならない。

背景情報

紛争に関する規約の重大な違反は、戦争犯罪を構成する。その一部は、国際刑事裁判所(ICC)のローマ規程で成文化されている。ウクライナは、2014年2月20日以降に自国領土で行われた犯罪に対するICCの管轄権を受け入れると2015年に宣言しており、ICCはウクライナで行われた戦争犯罪に対する管轄権を有することになる。ロシアは2000年にローマ規程の合意書に署名したが、2016年にその署名を撤回した。

今回の軍事侵攻は、ICCローマ規程の侵略の定義に合致するとみられる。軍事侵攻関連として、同規程第8条2項は、「侵略の罪」を「その性質、重大性および規模により、国連憲章の明白な違反を構成する侵略行為」と定義している。安保理の付託がなければ、裁判所はこの状況下での侵略の罪を管轄することはできないが、ウクライナをはじめとする多数の国には、この犯罪の責任者を訴追することを可能にする国内法がある。

ウクライナへの侵攻により、住宅街、医療機関などの施設、インフラなどが、無差別攻撃を受け、民間人に死傷者が出ている。多数の市民が避難し、多数の住宅が破壊された。ドネツクとルハンスクでは、特に2014年から2015年にかけての紛争では、超法規的処刑、拷問などの暴力、強制失踪、違法な自由の剥奪などが行われた。

アムネスティ国際ニュース
2022年3月1日

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ウクライナの市民の命を守って!

緊急署名:ウクライナの市民の命を守って!(change.org)

ロシア政府に対し、ウクライナ侵略を直ちに止め、戦闘に関わっていない市民を保護し、国際法を遵守するよう求める署名を開始しました。ウクライナの人たちの人権が重大な危機にさらされています。彼らのために日本からも声を上げてください!

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