- 2023年7月13日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:ウクライナ
- トピック:
米国はクラスター爆弾のウクライナへの供与を決めた。
アムネスティは長年、クラスター爆弾をめぐる問題を世界に訴えてきた。多数の小さな爆弾(子爆弾)を広範囲にまき散らし、無差別に人を殺傷するクラスター爆弾は、深刻な被害を出すおそれがある。また、子爆弾の不発弾が、紛争後数十年にわたり市民の脅威になりかねない。
ロシアの侵略戦争は、ウクライナの人びとに深い苦しみをもたらした。ウクライナの同盟国を含む111カ国がクラスター爆弾禁止条約を批准し、その使用、製造、移転、備蓄が禁止されるようになったのは、人道的配慮と、戦争とその余波に引き裂かれた国の人びとへの思いがあったからだ。
クラスター爆弾をウクライナに供与するというバイデン政権の決定は、時代の流れに逆行するもので、紛争中も紛争後もクラスター爆弾の脅威から人びとを守るために国際社会が成し遂げた大きな前進を阻害することになる。
アムネスティは米政府に対して、ウクライナへのクラスター爆弾供与の再考、クラスター爆弾禁止条約への加盟、保有するクラスター爆弾の廃棄、クラスター爆弾の使用、生産、移転の停止を強く求める。
背景情報
- クラスター爆弾はロケット砲、大砲、空中投下コンテナなどから発射され、砲弾内の小爆弾が空中で拡散して地上に落ちる。子爆弾が散布される範囲は、サッカー場ほどの広さになることもある。
- 子爆弾は爆発せずに不発弾として地上に散らばって落ちることが多い。この不発弾で紛争後も長く危険な状況が続くことがある。報道によれば、米国がウクライナに供与するクラスター爆弾の不発率は6パーセント以上だ。米国の国内法は、クラスター爆弾の不発率が1パーセントを超える場合は武器移転を禁じるとしている。
- 民間人、特に子どもが紛争後に不発弾で死傷する危険が高い。不発弾がある土地は何年も農耕などに使えない。
- クラスター爆弾の使用、製造、備蓄、移転を禁じるクラスター爆弾禁止条約は2010年8月1日に発効し、111カ国が批准している。ロシア、ウクライナ、米国はこの条約に加盟していない。
- 慣習国際人道法は、無差別に殺傷する武器の使用を禁じている。民間人の死傷につながる無差別攻撃は戦争犯罪になる。
アムネスティ国際ニュース
2023年7月7日
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