ウクライナ:戦争犯罪のロシアの空爆 子どもの犠牲続く

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2024年11月25日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:ウクライナ
トピック:

ロシアの空爆によりウクライナの子どもたちが殺傷される事態が続いている。空爆には戦争犯罪に相当するものもある。アムネスティは、2024年に子どもが犠牲になった17件の空爆を確認しており、現地調査では、ロシア軍が意図的に民間人と民間インフラを標的にしていることが明らかになっている。違法な攻撃や戦争犯罪の加害者を法の下で裁くこと、そしてロシアの侵略行為による戦争犯罪のすべての被害者に対して補償を行うことを求める。

子どもたちは、いかなる社会において最も弱い立場にある集団の1つであり、国際人道法の下で特別な保護を受ける。しかし、戦場から遠く離れた地域、軍事目標がまったくない地域でも、子どもたちが殺され、負傷している。

2024年にアムネスティが記録した空爆は戦争犯罪であり、キエフにあるウクライナ最大の小児病院への攻撃など、ロシアの全面侵攻の初期に行われたマリウポリの産院や劇場の爆撃をほうふつさせる。特別な保護を受ける病院など民間人や民間施設が、引き続き違法な攻撃の標的となっており、死亡や負傷する子どもたちがますます増えている。

子どもたちに対する継続的な攻撃は戦争犯罪に相当

ウクライナの民間人の被害を記録している団体の間では、2024年に子どもを含む民間人の死傷者が大幅に増加したという点で意見が一致している。国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)が発表したデータなどは、とりわけ夏には多くの子どもが命を落としていることを示している。

アムネスティは、2024年の子どもに対する攻撃の動画や画像120点以上を検証し、さらに現地調査も実施した。7月8日の攻撃では、ロシアの巡航ミサイルがキエフの小児病院を直撃した。この攻撃では2人が死亡し、100人以上が負傷した。その中には子どもも含まれる。

当時、病院で手術を行っていた外科医は「意識が戻ったとき、周囲はすべてが廃墟と化していた。私も負傷した。少し這って行くと、手術中の子どもは大丈夫だった。設備は破壊されていたが」と語る。

アムネスティは、この小児病院へのミサイル攻撃とその後の状況を示す14枚の画像と6本の動画を確認した。画像には、病棟の深刻な被害、割れた窓や破片、血痕が写っていた。病院施設やその周辺にウクライナ軍がいたことを示す証拠は見つからなかった。病院の規模は非常に大きく、精度の高い巡航ミサイルが別の標的を狙った可能性は事実上排除される。

民間人に対する攻撃と民間人の死傷者の増加が報告されていることは、ロシアによるウクライナへの侵略が圧倒的な人的犠牲を伴いながら続いている証拠である。特に子どもを傷つける違法な攻撃は、民間人の間に恐怖とパニックを引き起こすことを目的としている。攻撃側は処罰されずにいるが、責任が追及されなければ、こうした攻撃は続く。彼らを法の下に引きずり出すのは国際社会の責務だ。

背景状況

ウクライナ政府が統制する地域でも、ロシアが占領する地域でも、負傷したり命を落としたりする民間人の数が増加しているのは、ロシアによる国際法上の犯罪であるウクライナ侵略の直接的な結果である。

OHCHRのデータによれば、民間人の死傷者の約89%はウクライナが支配する地域で発生している。アムネスティは、子どもの死傷者に関するロシア側の情報を検証することはできなかった。また、こうした攻撃がウクライナ軍によるものだとする主張の信ぴょう性も確認できていない。

民間人や民間施設への直接攻撃は戦争犯罪である。爆発兵器による人口密集地域への攻撃をはじめとする無差別攻撃は国際人道法違反であり、民間人を殺傷する無差別攻撃は戦争犯罪である。アムネスティは、2022年2月以来、ロシア軍がウクライナで無差別攻撃を行い、数千人の民間人が犠牲になった事例を多数確認しており、拷問、性的暴力など、その他の戦争犯罪の証拠も確認している。

国際法上の犯罪を行った者はすべて、公正な裁判手続きで裁かれなければならず、被害者は救済されなければならない。

アムネスティ国際ニュース
2024年11月18日

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