イスラエル/被占領パレスチナ地域/パレスチナ:増える殺人 パレスチナ人へのアパルトヘイトに終止符を

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2022年5月25日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:イスラエル/被占領パレスチナ地域/パレスチナ
トピック:

イスラエル当局は、子どもを含むパレスチナ人の殺傷、恣意的逮捕、拷問その他の虐待、迫害、集団的懲罰をやめなければならない。

最近の事例としては5月11日、ヨルダン川西岸地区北部ジェニン市でのイスラエル軍の襲撃を取材していたパレスチナ人ジャーナリストが、頭部を撃たれた。イスラエル軍は抗議行動の取り締まりや捜査・逮捕の際、過剰な武力でパレスチナ人を殺傷してきた。国際法上の犯罪となる超法規的処刑に相当する行為で殺されたパレスチナ人もいる模様だ。

パレスチナ人を容赦なく殺害するイスラエル軍兵士が、罪に問われることはない。人道に対する罪を犯し続けるイスラエルの責任を問うために国際社会が行動するまでに、さらにどれだけの命が失われなければならないのか。

2021年6月、ナフタリ・ベネット・イスラエル首相が就任して以降、軍の暴力が激しくなっている。この3月と4月で犠牲になったパレスチナ人とイスラエル人の数は、イスラエルと被占領パレスチナ地域での武力衝突を除くと、2008年以降の2カ月間としては、最も多かった。

国連人道問題調整事務所とアムネスティの調べによると、被占領パレスチナ地域でイスラエル軍は、昨年6月21日から今年5月11日までに子ども14人を含む少なくともパレスチナ人79人を殺害した。この3月には、子ども3人を含む12人が軍の犠牲になった。イスラエル人入植者によるパレスチナ人の殺害も1件あった。アムネスティの調べでは、4月の1カ月間で少なくとも22人(うち子ども3人)のパレスチナ人がイスラエル軍に殺害された。一方、イスラエルの複数の都市で武装したパレスチナ人による襲撃も発生し、3月22日以降で18人が亡くなっている。

重大な違反行為の急増の背景には、イスラエルの複数の政府高官がパレスチナ人に対するさらなる暴力を口にしたことがある。暴力が激化して以降、イスラエルの首相や高官は、差し迫った脅威がないパレスチナ人に対し射殺命令を出し、暴力を扇動し、違法な武力行使を奨励する発言を繰り返してきた。他の政治家もあからさまに暴力を扇動し、日常化したイスラエルによるパレスチナ人差別を際立たせている。また、パレスチナ人によるイスラエル民間人の攻撃についても、西岸地区のパレスチナ当局が避難する一方で、いくつかのパレスチナ人武装グループの報道担当者は、攻撃を奨励している。

パレスチナ人に対するあからさまなアパルトヘイトを続けるイスラエルの犯罪行為を終わらせるために、世界各国は直ちに行動を取る道徳的、法的責任がある。また、国際刑事裁判所検察官は、イスラエルによる犯罪を許す事態を終わらせるために、裁判による真実究明と被害者への補償に向けた道筋をつけるべきだ。

アムネスティは動画や写真の検証に加え、目撃者9人、拘禁されているパレスチナ人の弁護人3人に話を聞いた。また、違法な殺害や恣意的拘禁、虐待、拷問、集団的懲罰など、繰り返されてきたパレスチナ人への違法行為の検証に向けた現地調査や人権団体からの情報収集などを実施してきた。アムネスティはまた、武装したパレスチナ人がイスラエルの民間人を殺害した事件についての情報も入手した。

パレスチナ人の子どもたちの殺害

アムネスティの調べによると、今年の初めから5月初旬にかけて、イスラエル軍は武器を使用するなどしてパレスチナ人の子ども9人を殺した。加えてこの間、パレスチナ人の子ども1人が、武装した入植者に殺された。

4月13日、イスラエル軍はベツレヘム近郊の町フサンに入るところでパレスチナ人の抗議行動の取り締まり中に、クサイ・フアド・ムハンマド・ハマムラさん(16歳)を撃ち殺した。人権団体ディフェンス・フォー・チルドレン・インターナショナル・パレスチナによると、ハマムラさんの体には多数の銃創の痕があった。少なくとも1発は頭部を直撃していた。イスラエル軍は声明の中で、自軍兵士に火炎瓶を投げた人物を射殺したことを明らかにしたが、軍の兵士には火炎瓶による負傷者はいなかった。

容赦ないモスク攻撃

4月3日から5月8日までのラマダンの間、イスラエル当局は東エルサレムのアル=アクサ・モスクへのムスリム参拝者の立ち入りを制限し、モスクに到る道路に検問所を設置した。

イスラエル警察は集会を解散させるために、モスクの内外で参拝者を襲撃し、拷問に等しい暴行を加えた。パレスチナ赤新月社によると、4月15日、イスラエル警察は、6時間にわたりゴム弾や警棒でパレスチナ人を弾圧し、少なくとも150人を負傷させ、400人以上を拘束した。

目撃者によると、警察は、ジャーナリスト、医療関係者、女性、高齢者、障がい者らの顔や背中、胸など上半身に向けてゴム弾を使用したという。

イスラエル民間人への襲撃

3月22日以降、イスラエルの複数の都市で武装パレスチナ人による襲撃があり、警官3人と外国籍者2人を含む18人が死亡した。襲撃したパレスチナ人のうち6人がイスラエル軍に射殺され、1人が民間人に殺された。

4月7日には、ジェニン難民キャンプのパレスチナ人がテルアビブのレストランを襲撃し、3人が死亡、10数人が負傷するという事件が発生した。その後、イスラエル当局は、ジェニンの全住民の移動を4月17日まで制限した。また、ジェニンへの出入りを管理する軍検問所を閉鎖した。イスラエルのパレスチナ人とジェニンのパレスチナ商人は、業務上での検問所の通過を許されず、宗教上ではおよそ5,000人が通行許可を取り消された。

民間人への襲撃は衝撃的で、世界中から非難されるべきだ。イスラエルは、暴力が発生する原因にメスを入れ、アパルトヘイトを撲滅し、支配下に置くすべての人びとを保護し、平等に命を尊重する義務がある。イスラエルによる国際法の軽視は、何度も証明されてきており、世界各国には、行動を起こし、イスラエルの責任を問い、パレスチナ人に対するアパルトヘイトをなくす義務がある。

アムネスティ国際ニュース
2022年5月11日

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