- 2022年8月26日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:イスラエル/被占領パレスチナ地域/パレスチナ
- トピック:
イスラエル治安部隊は8月18日、被占領パレスチナ自治区ヨルダン川西岸地区のラマッラーにある7つのNGOの事務所を封鎖した。当局は、パレスチナ市民団体への弾圧をやめ、団体が嫌がらせを受けることなく活動できるようにしなければならない。
7団体は、アッダミール囚人支援・人権協会、アル・ハック(人権団体)、国際児童防衛協会パレスチナ、農業労働委員会連合、ビサン研究開発センター、保健活動委員会、パレスチナ女性委員会連合で、18日の夜明け前、軍の急襲を受け書類や機材を没収され、軍令に基づいて事務所の出入り口が封鎖された。
これらの団体は、被占領パレスチナ地域にとどまらず世界の人権に多大な貢献をしてきたが、今回の急襲でその活動が踏みにじられる形となった。
アムネスティは、仲間であるこれらのNGOと連帯するとともに、世界各国に今回のイスラエルの対応を厳しく非難するよう求める。団体の事務所再開、国際刑事裁判所によるパレスチナ状況の調査への支持、パレスチナ人に対するイスラエルのアパルトヘイト政策への非難などで、国際社会は協調行動を取る必要がある。
アムネスティは7団体のうちの3団体に話を聞いたが、いずれの団体も急襲と閉鎖に動揺を隠せない様子だった。
国際児童防衛パレスチナの事務局長は、「占領軍は人権を守る私たちの声を封じようとしてきたがうまくいっていない。軍が適用するのは人権法ではなく軍の法律だ。今回の急襲で、イスラエルがEUや国際社会の見解を拒否し、占領と人権侵害の維持に躍起になっていることがわかる」と語った。
アムネスティは3団体の事務所に貼られた軍令を検証した。
事務所閉鎖命令は、国防(緊急)規則に基づくものだった。統治に対する抵抗の封殺を狙った英国が1964年に定めたこの規則は、これまで廃止されることがなかった。1967年以降、イスラエル軍はこの規則を広く適用し、数百軒ものパレスチナ人の家屋を取り壊し、住人を追い出し、数万人を起訴や裁判なしの行政拘禁に処してきた。
一連の対応は、第4ジュネーブ条約と人権条約に違反し、パレスチナ人を抑圧するアパルトヘイトの手段の一つになっている。
アムネスティは各国に、イスラエルが国内や被占領地域のパレスチナ人に対しアパルトヘイトなどの犯罪を行っている事実を確認するよう呼びかけている。各国は、イスラエルとの協定に人権への配慮が盛り込まれているかを確認し、アパルトヘイトに加担しないよう適切な評価と判断をする必要がある。
背景情報
イスラエル国防省は昨年10月19日、保健活動委員会を除く6団体を「テロリスト団体」に指定する軍令を発した。その結果、6団体は事実上活動ができなくなり、事務所閉鎖や資産押収、職員の逮捕・投獄などに直面した。また、公の場での支持の訴えや団体への資金提供も禁止された。
この対応でイスラエルは、国際NGO、欧州などの国の機関や代表、国連の専門家など多数から非難を受けている。
昨年10月、人権NGO「フロントライン・ディフェンダーズ」の調査と、シチズン・ラボとアムネスティによる検証で、今回摘発された団体に所属する人権活動家らが所持していた6つの機器が、イスラエル製のスパイウェア「ペガサス」でハッキングされていたことがわかっている。
昨年10月18日、パレスチナの囚人の権利擁護団体アッダミールの弁護士は、「イスラエルへの忠誠を破った」とみなされたとされ、エルサレムでの居住権をはく奪された。国外追放を受けるおそれもある。
同弁護士は、今年3月7日から起訴も裁判もないまま行政拘禁されており、アムネスティは、同氏の釈放を求めている。
アムネスティ国際ニュース
2022年8月18日
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