タイ:抗議する子どもたちへの容疑を取り消せ

  1. ホーム
  2. ニュースリリース
  3. 国際事務局発表ニュース
  4. タイ:抗議する子どもたちへの容疑を取り消せ
2022年12月 1日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:タイ
トピック:

タイ当局は、2020年から始まった大規模デモに参加した子どもたちへの訴追を取り消すべきだ。

アムネスティは、長年にわたりデモに参加した子どもたちが弾圧を受けたことによる影響を克明に調査し、明らかにしてきた。弾圧の手段には、脅迫、監視、取り締まりなどがある。タイ警察や役人がデモに参加した子どもを尾行や監視し、デモに参加しないよう家族や学校に圧力をかけたり、本人や親に「裁判にかけるぞ」と脅したりしたケースもあった。

2020年に始まった前例のない大規模なデモに参加した人の多くが当時は子どもだった。子どもたちは、自分たちの将来を左右する事柄について自分の意見を言う必要性を感じていた。

子どもたちは、経済や教育、その他の分野の仕事に就く機会を奪う不当な裁判に脅かされている。当局には、子どもたちが裁判にかけられることなく、今後の人生を歩むことができる環境づくりが強く求められている。

2020年以降、18歳未満のデモ参加者283人(推定)が、さまざまな容疑で訴追されている。このうち200件近くが今も係争中だ。

容疑の大半は、新型コロナウイルスのパンデミックで導入されその後廃止された緊急事態令の違反だ。王室の名誉棄損、暴動、当局が「虚偽」とみなした情報の流布で訴追された人もいる。

すでに存在しないパンデミック関連の緊急令違反での訴追は、あきれるばかりだ。タイ当局は、子どもらへの法令違反の容疑を取り下げ、廃止された法令違反での訴追は、今後やめるべきだ。

11月22日、ノンタブリー県少年・家庭裁判所で、王室名誉棄損で子どもとして初めて訴追された裁判の判決が言い渡される。被告は2020年9月、17歳の時にデモに参加して訴追されたLGBTI(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー、インターセックス)の活動家だ。有罪なら最大で15年の刑を言い渡される可能性がある。

バンコクで開催されたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議直前の複数の報道によると、子どもたちは、抗議行動で拘束されるおそれがあるにもかかわらず、自分たちの権利を行使し意見を言うために街頭に繰り出していた。

タイ当局は、抗議する権利の侵害をやめ、子どもたちがこの権利を十分享受できるよう、同権利を促進する積極策を取らなければならない。

背景情報

2020年、プラユット・チャンオチャ首相率いる軍主導の政府に抗議するデモが始まり、数万人の若者が参加した。各地の大学や高校のキャンパスでは、フラッシュモブも始まった。

抗議の動きはソーシャルメディア、特にツイッターで急速に広まり、デモ参加者はハッシュタグを使った連携で有機的に集まった。当初のデモ参加者の圧倒的多数は、18歳未満の学生だった。

デモに参加し、意見を表明したことで1,800人以上が訴追されたが、そのほとんどは緊急事態令(今年10月に廃止)違反だった。

人びとが迫害を受けることなく変化を求めることができるよう、アムネスティは現在、世界で「抗議者を守れ」と呼ぶキャンペーンを実施している。

アムネスティは、いずれの政府、政治的イデオロギー、経済的利益にも与しない。アムネスティが特定の政治的立場を取る個人や団体への人権侵害に懸念の声を上げたとしても、アムネスティがその個人や団体を支持しているということではない。

アムネスティ国際ニュース
2022年11月18日

英語のニュースを読む

関連ニュースリリース