- 2023年1月20日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:イスラエル/被占領パレスチナ地域/パレスチナ
- トピック:
パレスチナ旗の公共の場での掲揚制限を強化するイスラエル政府の指令は、国籍、表現の自由、平和的集会の自由の権利に対する恥ずべき攻撃である。イタマル・ベン・グヴィル国家安全保障相は1月8日、警察に発令した指令でパレスチナ旗をテロの象徴だとして公共の場から排除するよう命じた。
当局は、この指令には「政府に対する扇動を阻止する狙いがある」と言うが、イスラエルはこれまで、反政府的意見を封じ込め、抗議活動を制限するなどの措置を相次いで取ってきた。また、パレスチナ市民への弾圧を強め、パレスチナ人活動家の逮捕や行政拘禁命令を頻繁に発令してきた。
イスラエル当局はパレスチナ人に対する人種差別と差別を正当化するためにさまざまな措置を導入してきた。今回の指令もその一環であり、「扇動を阻止する狙い」といくら言ったところで、アパルトヘイト体制に反対する人たちに対する容赦ない攻撃であることは、隠せない。
市民的、政治的権利に関する国際規約の締約国であるイスラエルには、国内の全市民の表現と集会の自由の権利を保障する義務がある。イスラエルはまた、国家的、人種的、宗教的憎悪の唱道による差別、敵意、暴力の扇動を禁止する義務を負っている。
パレスチナ旗を公共の場で掲げる行為を制限することは、国際規約の締約国としての義務を無視している。
何十年もの間、パレスチナの旗はパレスチナ人にとってイスラエルの違法な占領に対する団結と抵抗の象徴であり、世界中でパレスチナ人の連帯の象徴として使用されてきた。
今回の命令自体が人種的憎悪の炎に油を注ぎ、分断を生んでいるにもかかわらず、イスラエル当局が扇動を理由に指令を正当化するのは滑稽でしかない。
イスラエルは、アパルトヘイト体制の中で数多くの政策を打ち出してきた。いずれの政策も、パレスチナ人の存在を小さくしてできるだけ見えないものととなるようにし、パレスチナ人の声を封じる狙いがあった。
制限の歴史
イスラエルは長い間、パレスチナ旗を掲げる行為を規制してきた。旗の掲揚は違法ではないが、当局が社会の秩序を脅かすと判断すれば旗を排除することができる。
1967年にパレスチナ地域を占領したイスラエルは、その後パレスチナ人が政治的テーマで行う10人以上の行進、集会、追悼行事などに許可を求め、許可なく実施すれば、処罰する軍令を発令した。ここでの「政治的」とは何か、その説明がないこの軍令後、抗議行動は平和的なものも含め事実上禁止されてきた。
また、軍の許可なく旗や紋章の掲示、政治的意図があるとみなされる書物の出版が禁止された。
昨年5月、イスラエル軍に殺害されたパレスチナ系米国人記者シリーン・アブ・アクレさんを悼む行列に多数のパレスチナ人が参加する中、警察は参列者からパレスチナの旗を没収した。
昨年6月には、国営施設でのパレスチナ旗の掲揚を禁止する法案が予備審査を通過している。
アムネスティ国際ニュース
2022年1月11日
英語のニュースを読む
関連ニュースリリース
- 2024年10月 7日 [国際事務局発表ニュース]
イスラエル/被占領パレスチナ地域/パレスチナ:紛争勃発から1年 急務の停戦と人質解放 - 2024年10月 3日 [国際事務局発表ニュース]
イスラエル/被占領パレスチナ地域/パレスチナ:国連決議に従いパレスチナの違法占拠をやめよ - 2024年9月 3日 [国際事務局発表ニュース]
イスラエル/被占領パレスチナ地域/パレスチナ:西岸地区の大規模軍事作戦 パレスチナ人殺害急増の危機 - 2024年7月29日 [国際事務局発表ニュース]
イスラエル/被占領パレスチナ地域/パレスチナ:投資会社 パレスチナ人に対する監視技術の使用を停止する人権保護を要求 - 2024年5月22日 [国際事務局発表ニュース]
イスラエル/被占領パレスチナ地域/パレスチナ:ICCがイスラエルとハマスの高官への逮捕状を請求 正義への重要な一歩