イスラエル/被占領パレスチナ地域/パレスチナ:イスラエルのガザ「避難命令」は強制移動に相当 即時撤回を

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2023年10月18日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:イスラエル/被占領パレスチナ地域/パレスチナ
トピック:地域紛争

イスラエル軍はガザ北部とガザ市の住民に対し、ガザ地区南部への「避難」を命じたが、この命令は、適切な通告とは言えず、国際人道法違反である民間人の強制移動に相当する可能性がある。

当初の発表では、イスラエル軍は「住民の安全と保護のため」として24時間以内の退去を指示していたが、これが実現不可能な要求であることは、軍の報道官さえも認めている。イスラエルはこの命令を出したからといってガザ北部への攻撃が許されることはない。

また、イスラエル軍には、民間人がどこにいようと、その被害を最小限に抑えるためにあらゆる措置を取る義務がある。

軍は、ガザ北部とガザ市全体から110万人以上もの大量の住民を強制的に移動させようとしており、イスラエルによる容赦ない空爆作戦と集団的懲罰の中、住民の間にパニックを引き起こしている。何千もの避難民が行き場を失い、安全な場所の確保もできないまま、路上で寝泊まりしている状況だ。イスラエルは空爆を直ちに停止すべきだ。

ガザ保健省によると、10月7日以来、イスラエルのガザへの攻撃で 1,500人以上が死亡、6,600人以上が負傷した。住民は瓦礫の下から家族の遺体を見つけ出すことに懸命で、実際の死者数はさらに増えるとみられている。

今回の戦闘は、パレスチナの武装集団によるイスラエルへの攻撃で始まった。

ガザのハマスなどの武装集団がロケット弾をイスラエル南部に無差別に撃ち込み、民間人を拉致して人質にし、あるいは殺害した。イスラエル保健省によると、少なくとも1,200人が死亡、3,436人が負傷した。イスラエル軍の攻撃は、ハマスなどの攻撃への報復だった。

国連人道問題調整事務所(OCHA)によると、戦闘開始以来、220 万人のガザ住民のうち、53万2,000 人以上が家を追われた。

イスラエルの同盟国と支援国は、国際人道法が尊重され、民間人が保護されるよう要請する必要がある。ガザの民間人を政治の駒として利用してはならず、命を軽んじてはならない。

また国際社会は、イスラエルによる16年におよぶ違法なガザ封鎖をこれ以上正当化せず、違法な攻撃に使用される可能性がある武器の移転を即刻停止すべきだ。

ガザ北部の道路はイスラエルの空爆で深刻な被害を受け、交通機関は利用できず、封鎖措置の強化で燃料不足にも陥っている。

ガザで人道支援活動に従事する人は、「彼ら(イスラエル軍)は、ICU患者と今回の負傷者を病院からどうやって避難させるかを説明すべきだ。そんなことができるわけがない」とアムネスティに訴えた。

ガザ北部には瓦礫の下に今も数百人の遺体が埋まっているが、空爆で道路が破壊され、燃料も不足しているため、救助隊は現地に入り遺体を掘り出すこともできていない。

避難民の中には、障がいや持病を持つ人びともいる。アムネスティは徒歩で家を離れた障がいを持つ女性たちの話を聞いた。彼女たちは、ガザ北部の国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)が運営する学校に避難するため、砲撃におびえながら何時間も歩いてきた。こうした市民の保護が優先されなければならない。

「第二のナクバ」の恐怖

ガザの人口の大半は、1947年から49年の紛争で難民になった人たちの子孫にあたる。この紛争では75万人以上のパレスチナ人が町や村から強制的に追放された。この惨事をパレスチナ人は「ナクバ」と呼ぶ。多くのガザ住民の記憶には、世代を超えたトラウマとして刻まれている。

ガザ北部の多くのパレスチナ人が避難する一方で、「第二のナクバ」になることを恐れて、留まることを決めた人もいる。

「両親はナクバで家を追われた。昨年8月の(イスラエルの)攻撃で私たちは家を失い、再建した家も破壊された」とアムネスティに語った人もいた。

イスラエル軍が100万人以上のパレスチナ人に退去を強要する状況を、国際社会は黙って見過ごしてはいけない。イスラエルはガザの民間人の強制移動を直ちに中止しなければならない。

イスラエル軍とパレスチナの武装集団は、国際人道法に基づく民間人保護の義務を守らなければならない。パレスチナ武装集団は民間人の人質全員を解放し、イスラエルへのロケット弾攻撃を停止すべきだ。

イスラエルは、国際法上の原則を遵守し、集団懲罰、報復、強制移動などの措置を取ってはならない。

不偏不党の人権団体であるアムネスティは、武力紛争のすべての当事者が国際人道法と国際人権法を遵守するよう求める。パレスチナの武装集団とイスラエル軍が、民間人や民間施設への被害を最小限に抑えるために必要な予防措置を講じ、違法な攻撃や民間人の処罰を控えるなど、国際人道法の規則を遵守しているかどうかを引き続き調査していく。

アムネスティ国際ニュース
2023年10月13日

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