イスラエル/被占領パレスチナ地域/パレスチナ:共同声明 イスラエルとパレスチナ武装組織への武器供与の即時停止の要請

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2024年2月 9日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:イスラエル/被占領パレスチナ地域/パレスチナ
トピック:地域紛争

国連加盟国すべてに対し、ガザの危機を助長するのをやめ、これ以上の人道的大惨事と民間人の犠牲を食い止めるための行動を求める。

アムネスティを含む人道・人権16団体はすべての国に対し、イスラエルとパレスチナ武装組織への武器、部品、弾薬の供与の即時停止を求める。国際人道法および国際人権法の重大な違反行為、あるいはその助長に使用されるおそれがあるからである。

現在、ガザ地区の民間人はかつてない深刻で大規模な人道危機に直面している。イスラエルによる砲撃と包囲は、生存に欠かせない基本的な物資などを奪い、ガザを居住不可能にしている。

さらに、パレスチナの武装組織の攻撃を受けたイスラエルでは、約1,200人の死者を出し、子どもを含むイスラエル人や外国人数百人が人質として拘束され、現在も130人以上が拘束されている。ガザの武装組織はイスラエルの人口密集地を無差別にロケット弾で攻撃し続け、子どもたちの学校を破壊し、民間人の生命と幸せを脅かしている。人質を取る行為や無差別攻撃は国際人道法違反であり、直ちに停止しなければならない。

人道支援機関、人権団体、国連当局者、153を超える国連加盟国が即時停戦を求めているが、イスラエルは人口密集地での武器や弾薬の使用をやめず、深刻な人道的問題を引き起こしている。

国連事務総長は、「世界の指導者はイスラエル政府に対し民間人の犠牲を減らすよう求めているが、イスラエルによるガザ地区での軍事作戦でかつてない数の犠牲者が出している」と述べている。加盟国には、民間人の保護を徹底し、国際人道法を遵守するためのあらゆる手段を尽くす法的責任がある。

敵対行為の激化で、ガザに残された生命線である国際的な人道支援は困難になっている。支援物資を積んだ車列への攻撃、通信網の遮断、道路の破壊、生活必需品の制限、商業物資のほぼ全面禁止、援助物資移送での官僚的手続きなど、多くの障壁がある。

イスラエルの軍事行動で、ガザの家屋や学校、病院、水インフラ、避難所、難民キャンプの多くが破壊された。爆撃の無差別性と、明らかに民間人を対象とした攻撃は容認できるものではない。

国連人権高等弁務官は、ガザで「残虐行為犯罪が行なわれる危険性が高まっている」と警告し、すべての国に対し犯罪の拡大阻止を求めた。だがこの呼びかけ以降も、ガザの人道危機は悪化の一途をたどっている。

  • ガザ保健省によると、4カ月足らずで25,000人を超えるパレスチナ人が犠牲になった。うち10,000人以上は子どもである。さらに数千人が瓦礫に埋もれており、死亡したとされる。
  • 62,000人以上が負傷し、その多くが、後遺症が残るほどの重傷を負った。その中には、腕または脚を失った10,000人以上の子どもが含まれる。
  • 国連によれば、子どもを含むパレスチナ民間人多数が不法に拘束されている。彼らは直ちに釈放されなければならない。
  • パレスチナ人は、イスラエルから指示された退避地域で、毎日のように殺されている。2024年1月初旬にはイスラエル軍の空爆で、イスラエルが「人道地帯」と定めていた地域付近で14人(大半が子ども)が殺された。
  • ガザの人口の85%以上にあたる約190万人が強制的に避難をさせられた。多くの民間人はイスラエルの南部への移動命令に従った結果、人としての暮らしができないほどわずかな土地に押し込められ、病気まん延する事態も起きている。
  • ガザの50万人以上のパレスチナ人が飢餓に直面し、人口の90% 以上が深刻な食料不安に陥っている。90%は、食料不安を評価する専門機関の記録で過去最悪の値である。
  • ガザの70%以上の家屋、大部分の学校、水と衛生設備などが損壊し、安全な水が入手困難な状況にある。
  • 包囲下の医療施設はどの施設も満足に機能せず、ある程度機能しているとしても、医薬品や医師が不足しているうえに、トラウマを抱えた人びとであふれかえっている。医療従事者の死者は300人を超える。
  • ガザでは少なくとも167人の支援従事者が殺害された。今世紀のどの紛争よりも多い数だ。

現在のガザは、子ども、ジャーナリスト、支援従事者にとって最も危険な場所になっている。病院や学校が戦場になるようなことがあってはならない。このような事態がガザに絶望的状況を生み出し、支援従事者からは「ガザで有意義な人道対応ができる状況ではない」との発言も聞かれる。包囲、砲撃、戦闘が終わらない限り、この状況は変わらない。最近、国連は1月中の人道的アクセスは「著しく悪化している」と懸念を示した。イスラエル軍は、特に飢餓が深刻なワディ・ガザ北部地域への支援物資の搬入を繰り返し拒否している。

この数週間、数人のイスラエル高官は、パレスチナ民間人のガザからの退去を求め始めた。ガザ内での強制移動や、帰還の保証のない国境を越えた住民の追放は、国際法の重大な違反であり、残虐行為犯罪にあたる。

私たちは即時停戦を強く求める。同時に、すべての国に国際人道法と国際人権法の違反行為に使用されるおそれがある武器供与の停止を求める。

国連安全保障理事会は、イスラエル政府とパレスチナ武装組織への武器移転の停止と国際犯罪に使用される危険のある武器の移転阻止に向けた措置を採択することで、世界の平和と安全を維持する責任を果たさなければならない。

すべての国は残虐行為犯罪を防止し、民間人を保護する規範の遵守を促進する義務を負っている。今こそ国際社会は、この義務を果たすべきだ。

共同声明の賛同団体

  1. Federation Handicap International - Humanity & Inclusion
  2. War Child Alliance
  3. Christian Aid
  4. Norwegian People's Aid
  5. Médecins du Monde International Network
  6. Mennonite Central Committee
  7. medico international
  8. Oxfam
  9. Center for Civilians in Conflict (CIVIC)
  10. Danish Refugee Council
  11. Save the Children
  12. Plan International
  13. Norwegian Refugee Council
  14. Diakonia
  15. Amnesty International
  16. American Friends Service Committee (AFSC)

アムネスティ国際ニュース
2024年1月24日

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