イスラエル/被占領パレスチナ地域/パレスチナ:UNRWAへの資金拠出を停止した国々は撤回を

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2024年2月 9日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:イスラエル/被占領パレスチナ地域/パレスチナ
トピック:地域紛争

国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の複数の職員が、昨年10月のパレスチナの武装集団によるイスラエルへの攻撃に関わったという疑惑の中、少なくとも11の国がUNRWAへの資金の拠出を停止した。拠出の停止で、UNRWAの支援を唯一の命綱とするパレスチナ自治区ガザ地区の市民200万人以上が、深刻な影響を受ける。

1月31日時点で、拠出停止を表明している国はアイスランド、イタリア、エストニア、オランダ、オーストラリア、オーストリア、カナダ、スウェーデン、ドイツ、フィンランド、ラトビア、リトアニア、ルーマニア、米国、英国、日本の15カ国。

アムネスティは拠出を停止する国に対し、その決定を撤回し、UNRWAへの拠出を続けるよう求めている。

国際司法裁判所が、ガザ地区のパレスチナ人の生存が危機に瀕していると結論づけたわずか数日後の拠出停止の決定は、極めて衝撃的で非人道的な判断であり、ジェノサイド(集団殺害)と作為的な飢餓に直面するパレスチナの人びとに一層の苦しみを与えることになる。

UNRWAの職員3万人の中のわずか12人がイスラエルへの攻撃に関与したとされる中での資金供与の停止は、驚愕である。

UNRWA職員の関与が事実なら深刻な問題であることは言うまでもない。独立した調査を行い十分な証拠が認められた者を訴追し公正な裁判にかけなければならない。しかし、数人の個人の関与が疑われる行為を、集団的懲罰にあたるような人道支援の打ち切りの口実にして使ってはならない。

UNRWAは職員9人を即座に解雇し、調査を開始している。

占領国のイスラエルは、ガザをはじめとするパレスチナ自治区のパレスチナ難民に対する義務をあからさまに蔑ろにし続けてきた。長い間、UNRWAはパレスチナ人の唯一の命綱であり、人道支援、教育、避難所を提供してきた。また、近隣のアラブ諸国に住む数百万のパレスチナ難民にも、必要不可欠な援助を行っている。

援助を停止する国がある一方で、ノルウェー、スペイン、アイルランド、ベルギーの4カ国は、UNRWAが絶望的な状況に置かれている人びとへの人道支援物資の配給で重要な役割を果たしてきたとして、資金援助の継続を表明した。

国際司法裁判所の判決や、ガザ地区の人道的状況がさらに悪化するという同裁判所の調査結果に耳を傾けず、米国、英国、カナダ、ドイツ、オーストラリアなどの国々が、ガザ地区の市民を支援する機関への資金供与の停止したのは恥ずべきことだ。

国際司法裁判所は、ジェノサイドや回復不能な損害の回避に向け、イスラエルに対しガザのパレスチナ市民への人道支援を保証する措置などの即時実施を命じた。すべての国は国際司法裁判所が命じた措置の実施を後押しする義務がある。

UNRWAへの資金供与を打ち切る国の中には、イスラエル軍への支援を続ける国がある。イスラエル軍が戦争犯罪や重大な人権侵害を引き起こす武器を使用していることが明らかであるにもかかわらずだ。イスラエルへの支援停止の検討さえ拒否した上、まだ調査中の疑惑に基づき、人道支援の資金供与の停止を急ぐことは、ダブルスタンダードの明白な例だ。

すべての国は困窮する民間人を支援する機関への資金供与を続ける必要がある。その一方で、イスラエルとパレスチナの武装組織への武器供与を停止し、壊滅的な被害の軽減に向け、即時の長期停戦と人道的支援を推し進めるべきだ。

イスラエルの政府と右翼団体は長年、パレスチナ人の土地への帰還権を守る上で重要な役割を果たすUNRWAを中傷する活動を展開してきた。

アムネスティ国際ニュース
2024年1月29日

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