イスラエル/被占領パレスチナ地域/パレスチナ:イスラエルはパレスチナ占領をやめアパルトヘイトと人権侵害に終止符を

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2024年4月 8日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:イスラエル/被占領パレスチナ地域/パレスチナ
トピック:地域紛争

国連の公聴会が2月19日から26日までハーグで開催された。2022年12月の国連総会で採択された被占領パレスチナ地域でのイスラエルの政策と慣行の合法性について、またイスラエルの行為が他の国や国連に及ぼす影響について、国際司法裁判所に勧告的意見を求める決議の採択を受けたものだ。公聴会には、アフリカ連合、アラブ連盟、イスラム協力機構を含む50カ国以上が参加した。

イスラエルは、世界的にもパレスチナを最も長期で、とりわけ過酷な軍事的占領下に置いてきた。その特徴は、数十年にわたるパレスチナ人に対する広範で組織的な人権侵害にある。占領により、イスラエルによるパレスチナ人のアパルトヘイトが可能になり、定着してきた。

長年にわたるイスラエルの軍事的占領は、国際法に著しく違反する占領に変容している。

被占領ガザ地区での紛争により、占領地でのイスラエルの犯罪を長い間、容認してきたことによる壊滅的な結果が浮き彫りになっている。

世界はイスラエルによる不法な占領を終わらせることが、イスラエルと被占領パレスチナ地域での人権侵害に終止符を打つ前提条件であることを認識しなければならない。

「永続的な」占領

国際人道法では、紛争中の領土の占領は一時的とされる。占領者には、被占領地の住民の利益のために領土を管理し、占領開始時点の状況を維持することが求められる。イスラエルの占領はこうした国際人道法の基本原則に沿うものではなかった。

半世紀以上にわたるイスラエルによる占領は、東エルサレムの違法な併合や土地の没収、入植地の拡大によるヨルダン川西岸地区の事実上の併合と共に、占領の継続と自国市民の利益の維持をめざしていることは明確に示している。

ガザ地区では、2005年にイスラエル軍が撤退し、入植者が引き上げた後も、イスラエルによる占領と人びとを支配下に置くという状況が続いている。16年間にわたる違法な封鎖で、人や物資の移動が厳しく制限されてきたことで、経済に壊滅的な打撃を受けてきた。また、度重なる戦闘で何千人もの民間人が死傷し、ガザのインフラや住宅の多くが破壊された。

すべての国はイスラエルとの関係を見直し、アパルトヘイトの占領維持に加担しないようにしなければならない。

占領下での生活

占領下に暮らすパレスチナ人は、イスラエルの支配と抑圧により数々の人権侵害にさらされている。

差別的で抑圧的な各種法律により、パレスチナ人は被占領パレスチナの全域で分断と隔離の状況に置かれる一方で、各種資源を搾取され、その権利と自由を恣意的に制限され、ほぼ生活全般で支配されてきた。

直近の紛争以前でさえ、ガザのパレスチナ人は、陸、海、空の封鎖に加え、イスラエルによる数々の軍事的攻撃にさらされてきたが、一連の軍事的圧力がイスラエルによるガザの支配と占領の維持につながっている。

イスラエルがパレスチナにさまざまな圧力を加える中、アムネスティは戦争犯罪や人道に対する罪にも相当する違法な攻撃が繰り返される一方で、終わりのない封鎖は集団的懲罰であり、戦争犯罪でもあることを記録してきた。

西岸地区のパレスチナ人は、過剰な武力行使や違法な殺害、恣意的逮捕、行政拘禁、強制立ち退き、家屋破壊、土地や天然資源の没収、基本的権利や自由の否定に日常的に直面している。

占領下の東イスラエルを含むヨルダン川西岸地区では、イスラエルによる検問所や壁など複数の手段による封鎖や法的制限などにより、パレスチナ人は、移動の自由を制限され、権利をはく奪される状況が続いてきた。

国際法を無視したイスラエルの対応を象徴する事例として、イスラエル人入植の開始と被占領パレスチナ全域への拡大、さらに1967年の紛争直後の被占領東エルサレムの違法な併合が挙げられる。この併合はその後1980年に憲法に明記された。西岸地区には少なくとも300のイスラエル人の違法入植地とアウトポスト(無認可で建てられた入植地)があり、70万人以上のイスラエル人入植者がいる。

被占領パレスチナ地域の人びとは、56年間にわたりイスラエルの占領下で閉じ込められ、抑圧される中で生きてきた。パレスチナ人は、日常生活のあらゆる面でイスラエル当局に立ち入られ、管理されている。移動する権利、生計を立てる権利、教育や職業を求める権利、十分な生活の質を享受する権利などが制限され、土地や天然資源を利用する機会を奪われている。

イスラエルは、国際法に反して違法な入植地を次々と拡大する悪質な土地収奪政策を続け、その結果、パレスチナ人の人権と安全に壊滅的な影響を与えてきた。暴力的なイスラエル人入植者は、何十年もの間、パレスチナ人を攻撃しても罪に問われることはなかった。

強権的な管理

イスラエルが被占領パレスチナ地域を支配する手法としては、軍による検問、フェンスや壁の設置、軍事基地、パトロール、軍令などがある。

イスラエルは、被占領パレスチナの境界で水や電気、通信の供給や人道的支援を管理し、自国通貨を押し付けてきたが、これらの管理や対応で被占領パレスチナの人びとは、経済的、社会的発展で深刻な影響を受けきた。

2023年10月9日以降、イスラエルはガザ地区での封鎖を一層強化し、その残虐性はかつてないほどになっている。イスラエルによる封鎖と度重なる軍事作戦で、ガザ地区は現代における最も深刻な人道的、人権的危機に陥っている。

占領者であるイスラエルには、支配地域に居住するすべての人びとの保護と福祉を保証する義務がある。ところが、イスラエルは組織的で重大な人権侵害を犯し、処罰を受けることもない。

イスラエルはその残酷な政策を取る理由として、治安維持の必要性を挙げている。 しかし、治安維持は、アパルトヘイトや違法な併合と入植、あるいは保護下の住民に対する戦争犯罪を決して正当化するものではない。

イスラエル人とパレスチナ人の安全を確保する唯一の方法は、あらゆる人びとの人権を守ることにある。

占領の終結は、ガザ封鎖を解除し、東エルサレムを含む西岸地区のイスラエル人入植地を解体し、違法な併合を解消することによってパレスチナ人の権利を回復することを意味する。占領を終結することでパレスチナ人は住んでいる地域を自由に移動し、身分の法的地位の違いで離ればなれになった家族が再会できるようになる。そうすれば、多くの苦しみが和らげられ、広範な人権侵害がなくなるだろう。

占領終結は、繰り返される暴力やイスラエル人に対する戦争犯罪の根本原因の1つに取り組むことにもなり、人権保護を改善し、あらゆる立場の被害者のために正義と補償を確保する助けにもなるだろう。

背景情報

2022年12月30日、国連総会は決議を採択し、その中で、1967年以来、占領されているパレスチナ領土の占領、入植、併合から発生する法的結果や、イスラエルの政策と行動が占領の法的地位にどのように影響するか、この地位からすべての国家と国連にどのような法的結果が生じるかなどの重大な問題について、国際司法裁判所に勧告的意見を求めた。

同裁判所は今年の後半に勧告的意見を発表する予定だ。

アムネスティは60年にわたり、イスラエル軍が被占領パレスチナ地域で重大な人権侵害を犯し、処罰を受けることがなかった状況を記録してきた。

2022年にアムネスティは報告書「イスラエルによるパレスチナ人へのアパルトヘイト」を発表した。

報告書にある調査結果と勧告の多くは、人道に対する罪と戦争犯罪の遂行を可能にする環境をなくすためにイスラエルによる占領を終わらせることが喫緊の課題であることを強調している。

アムネスティ国際ニュース
2024年2月19日

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