マリ:ドローン攻撃で子どもを含む13人が犠牲に

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2024年4月11日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:マリ
トピック:地域紛争

アムネスティが得た目撃者の証言によると、ガオ州ガオ圏の町アマスカラドで3月17日の夜、マリ軍による2回のドローン攻撃で、子ども7人を含む少なくとも13人が命を落とし、10数人が負傷した。

マリ軍は、「攻撃で多数のテロリストと車両を無力化することができた」と発表したが、アムネスティが聞き取りをした目撃者は、「1発目で車両が破壊され、2発目では住民が避難していた仮設避難所が攻撃を受け、9人が犠牲になった」と軍の発表とは異なる証言をした。

家族7人を失った男性は「最初の攻撃は寝ていて気付かず、遅れて家族が避難している建物がある広場近くまで行った時、その建物周辺が2回目のドローン攻撃を受けて火の手が上がった。なんとか広場に入り、妻と子ども6人がいるところに駆け寄ったが、全員、亡くなっていた。避難していた友人や知人も犠牲になった」と話した。

武力紛争の全当事者は、民間人と戦闘員を区別し、民間人を標的にした攻撃や無差別攻撃をしないよう求める国際法上の義務を遵守しなければならない。当局には、これらの民間人の殺害に対する効果的で独立した捜査が求められる。家族全員が殺されたのに、責任が追及されず、正義も果たされないなど、あってはならない。

マリ政府は2023年半ば以降、アルカイダ、イスラム国を自称する武装組織、旧反政府勢力に対する軍事作戦を強化し、無人機による空爆を定期的に実施してきた。ここ数カ月、ガオ圏とキダル州キダル圏 で軍の攻撃が頻発し、多数の市民がアマスラカドに避難していた。

アムネスティが得た証言では、アマスラカドで治療を受けていた負傷者が亡くなり、その2日後には、攻撃を受けて負傷した女性が、お腹の胎児が死亡していることに気づいて悲しみに暮れていたという。

保護を求めている最中に攻撃される

別の男性も夜間、寝ていた時、ドローン攻撃を受けたと証言した。

「深夜1時ごろ大きな音と悲鳴で目が覚めた。家のすぐ近くにあった保健センター用の車が攻撃を受けたのだ。あわてて祖母を避難させようとした」

男性によると、隣人や仲間の多くは、車両から離れていれば攻撃を受けないと思い、車が止まっていない避難所に逃げ込んだが、その避難所も2度目の空爆で標的になり、9人が犠牲になったという。

「ばらばらになった遺体が庭に散乱し、身元確認も難しかった。その後、負傷者2人が亡くなり、一晩で死者は11人になった。その上、11人が負傷し、なかには重度の火傷を負った人もいた。みんな小さい頃から一緒に遊び、大きくなった親戚や知人で、武装組織とはまったく関係ない」と悲嘆に暮れた。

保健センターが使用する車両は、軍事目的に使われない限り、国際人道法では攻撃から保護されることになっている。建物や車両を攻撃する場合、自制と慎重さが欠かせない。従って、市民への配慮を怠った無人機による保健センターの車両攻撃は国際人道法違反にあたる。

娘が負傷した別の男性はこう語った。

「みんな一晩中、あちこちに散らばった頭や手足をつなぎ合わせていた。娘は大怪我を負い、病院に運んだが、重体だった。私たちがいったい何をしたというのか。真夜中に爆撃するなんて」と訴えた。

ガオの町から160キロ北東に位置するアマスラカドの町は、北部のガオ圏、キダル圏、メナカ圏を結ぶ交差地点にある。この町ではロシアの軍事企業の部隊の支援を受けたマリ軍が、独立を目指す反政府勢力やイスラム急進主義勢力と激しく対立している。

11月、マリ軍は、過去10年間にわたり独立派勢力が実効支配していたキダル市を奪還した。その後の数カ月間、近隣のメナカ圏やキダル圏の国内避難民の多くが、攻撃からの保護を求めて、親戚を頼ってアマスカラドに来ていた。

アムネスティはマリ軍に対し、軍事作戦中の無人機の使用に関わる明確なガイドラインを策定して公表し、民間人の被害や影響を最小限にとどめるよう求める。敵対行為に参加していない民間人の殺害は、国際人道法違反であり生存権の侵害である。

民間人に偶発的な損失・負傷・損害を過度に与えることを知りながらアマスラカドを攻撃したとすれば、戦争犯罪にあたる可能性がある。

当局は、ドローンの使用、特に標的を絞った殺害に使用する場合の交戦規定について、透明性を担保しなければならない。

アムネスティはマリ当局に、無人機の使用とその影響について、無人機による空爆回数、場所ごとの影響、空爆後に死傷した民間人と戦闘員の数、民間人と戦闘員を区別する際の基準などの情報開示を求めている。

背景情報

2年前の2022年3月27日、マリ中部のモウラ村で、マリ軍がロシアの民間軍事企業の部隊と手を組んで村人多数を虐殺するという悲劇があった。国連人権高等弁務官事務所によれば、この虐殺で少なくとも500人が超法規的に処刑され、女性58人が性的暴力を受けた。

国内外からの批判を受けた軍事法廷は2022年4月、虐殺に関する調査を実施すると発表したが、これまでのところ調査に進展はみられず、処罰を受けた人物は一人としていない。

アムネスティ国際ニュース
2024年3月27日

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