- 2025年7月25日
- [公開書簡]
- 国・地域:日本
- トピック:日本の難民・移民
2025年7月25日
法務大臣 鈴木 馨祐 殿
2025年5月23日、出入国在留管理庁は、「国民の安全・安心のための不法滞在者ゼロプラン」を発表しました。ルールを守らない外国人により国民の安全・安心が脅かされているとの認識のもと、電子渡航認証制度の早期導入や、難民認定申請の審査迅速化、護送官付き国費送還の促進などを柱とする計画で、2030年末までに日本国内の不法滞在者を半減させるとしています。このプランのもとでは、難民や庇護申請者をはじめとする、保護されるべき人びとまでもが不当な退去強制や収容の対象となりかねません。このような外国人排除を前提とした制度は差別を助長する恐れの強いものであり、看過することができません。
7月20日の参議院選では、差別的な言説を主張する政党が議席を大幅に増やし、国政が今後いっそう排外主義に傾くおそれがあります。難民申請者をはじめとする外国人の排除を求める声が勢いを増している現状を、私たちは深刻に受け止めています。このような勢力のさらなる後押しを受け、すでに国際社会からの再三の見直し勧告を受けている入管制度が、国際的な人権基準からさらに後退する懸念があります。
アムネスティ・インターナショナル日本は、日本の入国管理政策が、国籍や在留資格にかかわらず、すべての人の尊厳と人権を出発点とすべきであると考え、以下を求めます。
- 収容の目的を限定し、法律に明記すること
- 収容の期間に上限を設けること
- 収容の開始・継続について司法審査を導入すること
- 命や自由が脅かされかねない国への追放や送還を禁止する「ノン・ルフールマン原則」を遵守すること
2025年6月17日、東京地方裁判所の判決では、入管施設における外国人2人の長期収容の一部が「恣意的拘禁」に当たるとし、国に対して損害賠償を命じています。このように司法が入管行政の国際人権法違反を明確に認定したことは大きな前進ではありますが、入管制度そのものの違法性は認められませんでした。
「外国人排除」ではなく、「すべての人の人権の尊重」こそが、国際社会の一員として日本の進むべき道です。私たちは、国籍や在留資格に関係なく、日本で暮らすすべての人が平等に尊重される社会を一刻も早く実現させることを日本政府に求めます。
以上
2025年7月25日
アムネスティ・インターナショナル日本
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