- 2025年6月27日
- [日本支部声明]
- 国・地域:日本
- トピック:死刑廃止
アムネスティ・インターナショナル日本は、日本政府が本日行った白石隆浩さんの死刑執行に強く抗議します。
本日、石破政権下で初となる死刑執行が行われました。
2022年7月に加藤智大さんの死刑執行から2年11カ月ぶりのことであり、7月の参議院選挙を目前にしての執行です。昨年10月9日には、1980年に死刑が確定した袴田巖さんがやり直し裁判を経て無罪を勝ち取ったことにより、死刑制度が孕む問題が浮き彫りとなり、多くの批判の声が上がり始めたばかりでもありました。また、昨年11月に、国連人権理事会に任命された「特別報告者」が日本の死刑制度が国際法に違反する疑いがあるとして、日本政府に対し執行方法の見直しや執行停止の検討を求める通報を行っています。さらに同月下旬には、国連総会において加盟国の3分の2以上が死刑廃止を視野に入れた死刑執行停止を求める決議案を支持しました。日本の死刑制度の矛盾が国内外でこれまで以上に問われている中での執行は、えん罪によって袴田さんを死刑の恐怖にさらして精神を破壊し、半世紀にもわたって人生を奪ったことを国の機関と制度による大きな過ちとして認識していないということになります。
2023年1月31日、国連の人権諸条約を基準に行われた日本の普遍的定期的審査で、115カ国の政府代表が出した日本の人権状況に関する勧告として最も多くあげられた課題は、前回(2017年)の調査に引き続き「死刑執行」でした。さらに、国連の自由権規約委員会は「世論の動向にかかわりなく、締約国は死刑の廃止を考慮すべき」とし、世論を口実として死刑廃止に向けた措置を一切とろうとしてこなかった日本政府の態度を強く批判しています。日本政府は、国連の総会決議や複数の国連人権機関から、死刑の執行停止と死刑廃止に向けた取り組みを行うよう、繰り返し強く勧告されていることを忘れてはなりません。
人為的に生命を奪う権利は、何人にも与えられておらず、どのような理由によっても正当化することはできません。アムネスティは、あらゆる死刑に例外なく反対します。死刑は生きる権利の侵害であり、残虐で非人道的かつ品位を傷つける刑罰です。日本政府は、国際人権諸条約の締約国として、死刑にたよらない刑事司法制度を構築する国際的な義務を負っています。アムネスティは、日本政府に対し、死刑廃止に向けた第一歩を踏み出すために、死刑の執行停止措置の導入を早急に法制化するようあらためて要請します。
2025年6月27日
アムネスティ・インターナショナル日本
<「敬称」について>
死刑執行抗議声明における「敬称」について アムネスティ日本は、現在、ニュースリリースや公式声明などで使用する敬称を、原則として「さん」に統一しています。また、人権擁護団体として、人間はす べて平等であるという原則に基づいて活動しており、死刑確定者とその他の人々を差別しない、差別してはならない、という立場に立っています。そのため、死刑確定者や執行された人の敬称も原則として「さん」を使用しています。
なぜ、アムネスティは死刑に反対するのか?
死刑に関しては、さまざまな意見があります。その中でもとくに多いのが、「被害者の人権はどうなる」「死刑が廃止されては、『被害者や遺族の感情が納得いかない』」という意見です。そして、この問題が、死刑をめぐる一番難しい問題なのだと思います。
死刑をめぐる世界の状況(2025年4月14日更新)
アムネスティの調査によれば、世界の死刑執行数は急増した一方で、死刑執行国数は前年に引き続き過去最低となったことが明らかになった。
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