イラン、朝鮮民主主義人民共和国、シリアが武器貿易条約(ATT)の成立を阻む

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2013年3月29日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:
トピック:武器貿易条約

イラン、朝鮮民主主義人民共和国、シリアが武器貿易条約(ATT)の採択を阻んだ。ATTは、ジェノサイド(集団虐殺)、人道に対する罪、あるいは戦争犯罪などを遂行、助長する行為に武器が使用されることがわかっている国への通常兵器の移転を禁止することを目的としている。

この3カ国は、武器禁輸など何らかの制裁下にあるが、自国民に対して武器を向けることさえあり、人権を著しく侵害している国々である。これらの国が犯している残虐行為は、まさに条約が防ごうとしている類の行為だ。

交渉会議の議長は条約の草案を国連総会に持ち込み、今期の総会で採択することができる。しかし、イラン、朝鮮民主主義人民共和国、シリアが、全会一致での条約採択を妨害したことは理不尽である。

各国は、条約の採択に向けてできる限り速やかに行動を起こすべきである。今回の開催を決めた国連決議では、条約がコンセンサス(*)に達しなかった場合、国連総会がこの事態に対して行動を起こすことができる。鍵を握る11カ国を代表して発言したケニアは、まさにこの行動を支持した。

条約の草案は、国際人道法および人権法の重大な違反を犯す、あるいは助長することに武器が使用される危険性がある国に、兵器、弾薬、構成部品を移転するリスク・アセスメントを、すべての政府に義務付けている。現実にその危険性が決定的で、軽減できない場合は武器を輸出しないことに各国は合意した。

歴史的に意義あるこの条約の成立を拒否した3カ国は、交渉会議中にNGOと条約推進派の各国政府が直面する大きな壁となってきた。条約成立に向けたキャンペーンの中で、アムネスティ・インターナショナルは、各国に対して人びとの命を救い、人びとの苦悩を軽減するよう呼びかけた。幸運にも、ほとんどの国はその呼びかけに耳を傾けてくれた。

圧倒的多数が条約を支持したにもかかわらず、いくつかの国はいまだに巨大な経済的影響力や政治力を行使し、さらには主権を振りかざして、自国民を標的にしたり命を奪うなど、言語道断の行為を正当化している。

*議長がある決定案を採択して良いか発言し、これに対し、加盟国より異議が出されなければ、議長はこの決定案をコンセンサス方式で採択された旨を宣言する。投票や挙手は行わない。
(外務省ウェブサイトより)

アムネスティ国際ニュース
2013年3月28日