移民危機についての欧州委員会声明 解決法を示さず

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2015年2月24日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:
トピック:難民と移民

2月19日、地中海での移民危機対応に関し、欧州委員会が声明を発表した。発表した声明文は、状況全般について正しい分析をしているものの、難民の生命を守り救うための具体策は示していない。

欧州が捜索と救助の問題解決に乗り出す必要があることは同意できるが、声明には解決策が提示されていない。EU加盟国は協力して活動強化に努めるべきだ。欧州国境の管理強化に重点を置く「トリトン作戦」を、資金と活動地域を拡大せずに延長しても何も変わらない。

欧州委員会の移民・内務・市民権担当のアブラモブロス委員はブリュッセルでの記者会見で、EUが地中海を渡る移民・難民・庇護希望者の増加という非常に過酷な現実があることにもっと効率的に対応する必要があることを認めた。

同委員は、トリトン作戦を2015年末まで継続することと、救助された難民を受け入れるイタリアに緊急資金として1,300万ユーロを援助することは保証したが、捜索救助活動を強化することは約束しなかった。 イタリアによる海洋捜索救助作戦「マーレ・ノストルム」は2014年末の終了までに何千人もの命を救ったが、その経費は月950万ユーロだった。それに比較して圧倒的に規模が小さいトリトン作戦の経費は、月に150万から290万ユーロだ。

マーレ・ノストルム作戦の終了にもかかわらず、イタリアの沿岸警備隊は地中海中央部での救助活動を継続し、欧州国境管理機関の支援を受けての活動も含め、2月の1週末だけでも2800人以上を救助した。 2月にイタリアのランペドゥーザ島付近で難民300人以上が命を失ったことで、捜索救助のリソースに重大な課題があることが明らかになった。

この悲劇は、地中海での悪化する人道問題に対するEU国境管理政策の不備を、またもやさらけ出した。 2月19日の声明では、捜索救助のためにEU加盟国から一層の支援がない限り、海上で亡くなる難民が増え続ける状況を変えることはできない。

アムネスティ国際ニュース
2015年2月19日