- 2016年2月 9日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:オーストラリア
- トピック:難民と移民
オーストラリアの連邦最高裁判所は、ナウル共和国など国外での難民申請者収容は合法だとする判決を下した。この判決には失望した。
この結果、現在一時的にオーストラリアにいる子ども80人を含む約260人がナウルの収容施設に送り返されることになる。
ナウルに戻される庇護希望者は、深刻な人権侵害を受ける可能性がある。連邦最高裁判所のこの判決は、国際的な義務に反していることは明らかである。
さらに、現在ナウルで収容されている子ども68人を含む537人の庇護希望者は、ナウルから二度と出られない可能性がある。
彼らは、非常に過酷な環境に置かれているため、心身ともに疲弊し、自傷行為や自殺に走る人もいる。さらにアムネスティは、収容施設内の女性や子どもが、性的嫌がらせや性的暴力を受けているという話を何度も聞いてきた。
連邦最高裁判所の判決内容にかかわらず、ターンブル首相はこの収容所を永久的に閉鎖し、庇護希望者を国内に移すという人道的な決断を下すべきだ。
ナウルでの難民認定手続きは、その審査過程が極めて不透明で、弱い立場にある人びとを身の危険にさらしている。アムネスティなど多数の団体や個人は、ナウルの収容施設を訪問し、独立した立場でその環境や人権状況を調査したいという公式な要請をこれまで何度か政府に伝えてきたが、ことごとく拒否されてきた。このような秘密主義は問題であり、拷問禁止委員会の選択議定書で合意されているように、独立した立場で監視する体制が必要である。
ナウルは昨年11月、国連人権委員会でメディアや国際団体に施設を少しでも公開することを約束したが、現在もその約束は果たされていない。
アムネスティは、今後もナウルが不透明な情報を速やかに開示することや、海外報道陣や国際人権団体にも施設を公開するよう働きかけることを引き続き要請していく。
アムネスティ国際ニュース
2016年2月3日
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