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難民危機の責任を回避する各国首脳

2016年9月15日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:
トピック:難民と移民

© Giorgos Moutafis/Amnesty International
© Giorgos Moutafis/Amnesty International

各国首脳が深刻化する難民問題に正面から向き合うつもりのないことは、極めて卑劣な行為である。今後、難民の安全を確保する代替案を策定できなければ、世界で最も弱い立場にいる数百万人をさらなる苦境にさらすことになる。来週、難民に関する2つの首脳級会合が開かれるのを前に、アムネスティはそう主張する。

9月19日には、難民と移民に関する国連サミットで、実効性に乏しい対応策が採択されることになっている。20日には、オバマ大統領が、自ら主催する首脳級会合で、難民の苦難に終止符を打つための具体的な取り組みを各国に訴える。これまで各国は、この手の訴えをあからさまに無視してきた。

アムネスティのサリル・シェティ事務総長はこの状況に対し、「世界が未曾有の難民危機にあるにもかかわらず、各国首脳陣は紛争や迫害を逃れて国外に避難した難民の人権を顧みてこなかった。難民と移民に関する国連サミットには、まったく期待できないとわかっているが、オバマ大統領主催の会合でも、立て直しは厳しそうだ」と嘆く。

潘基文(パン・ギムン)国連事務総長は、1年ごとに各国が難民の10%を引き受けるよう求める「難民に関するグローバルコンパクト」というものを提案していた。 しかし各国は、具体的な数値責任を一切負わされまいと、この提案を骨抜きにしてしまった。

そして、難民に関するグローバルコンパクトの合意は、早くて2018年に持ち越された。一方、来週のサミットでは、具体的な責任分担を排除した、形だけの取り組みとしてニューヨーク宣言なるものを発表する。

「アムネスティは、このサミットの開催を2年前から、心待ちにしてきた。本来なら首脳陣は、難民危機の収束に向けた、明確で具体的な対応策をとりまとめ、発表してしかるべきだ。当初国連は意欲的な草案を提案していたが、難民を犠牲にしても『国益』を優先する欧州、ロシア、中国などの反対で、難民問題の総合的な解決に向けた提案は反故にされてしまった」とサリル・シェティは非難する。

「これでは責任分担ではなく、責任回避である。大国のエゴがこのサミットを台無しにし、難民数百万人に過酷な生活を強いることになる」

しかし、これで彼らが責任を回避できたと思うのは、早計である。国連各国には、難民に対する道義的、法的責務がある。

骨抜きの合意文書が採択される会合の翌日には、オバマ大統領主催の首脳級会合が開催される。この会合の狙いは、難民に合法的で安全な移動ルートを提供するための具体的な約束をとりつけることにある。これはほとんどの国が実施してこなかったことだ。難民への支援金の拠出も呼び掛ける。

アムネスティは、各国、とくに富める国に対し、会議開催中あるいはその直後に、速やかに大幅な受け入れ増を保障すること、合法的で安全な移動ルートを確保することなどを求めている。

米国主催の「難民に関するリーダーズ・サミット」では、難民危機の解決に向け、実効性のある具体策が生み出されなければならない。少なくとも何カ国かが、実施を確約する必要がある。

アムネスティは主要各国に対し、リーダーシップを迅速・果敢に発揮し、女性や子どもなど最も立場の弱い人びとの受け入れはもとより、そのほかの難民に対しても人道ビザ、就労ビザ、留学生ビザを発給するなど、積極的に責任を果たし、すぐにでも支援を実施するよう、強く求めたい。一国でも多くの国が難民受け入れを約束すれば、問題収束への筋道がより明るくなってくる。

長期的には、責任分担は、より計画的な方法で行われるべきもので、国力に応じて引き受ける難民の割合を決める客観的基準に、各国が合意することが必要だ。

国連高等弁務官事務所によると、世界の難民総数2100万人のうち、富裕国に定住しているのは14%に過ぎない。

世界の富の1.6%にすぎないエチオピア、ケニヤ、ヨルダン、パキスタン、トルコの5カ国が、世界の難民の3分の1を抱えている。第三国定住者数は年間10万人にすぎず、その90%を、米国、カナダ、オーストラリア、ノルウェー、英国の5カ国が引き受けている。

アムネスティはこれまで各国政府に対して、難民の権利の実現に向け、責任をもっと担うよう、何度も働きかけてきた。この秋、その一環として「I Welcome」という国際キャンペーンを始める。

「世界の首脳は、2100万人の難民を保護する施策の合意で大失態を演じたが、首脳にも良心というものがあるはずだ。変化を起こす合言葉は、『私は難民を歓迎する』だ」

アムネスティ国際ニュース
2016年9月13日

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