死刑執行停止を求める国連決議 新たな国々が賛成に回る

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2016年12月26日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:
トピック:死刑廃止

国連総会は12月19日、死刑廃止を視野に入れた死刑執行停止を求める決議案を圧倒的多数で採択した。これで6度目の採択となり、死刑執行停止を支持する国が増え続けていることからすると、死刑制度が歴史の教科書に登場するのも、単なる時間の問題と見ていいだろう。

国連加盟国193カ国のうち、賛成117カ国、反対40カ国(日本含む)、棄権31カ国だった。

決議案はアルゼンチンとモンゴルが主導した89カ国の共同提案によるもので、政治的に大きな影響力を持ち、死刑が世界の人権の問題であることを明確に示している。決議案はまだ死刑制度を維持する国に対していくつかの強い要望を送っている。具体的には、死刑の対象となる犯罪の数を減らすこと、死刑制度運用には、執行予定日の開示、公正で透明性ある減刑手続きを取ることで、死刑を適用する上での透明性を高めること、などだ。

国連総会は、世界の各国に死刑執行停止を求める決議を2007年以来、6回採択しており、支持国は着実に増えてきた。

今回の採択は、死刑の廃止を求める取り組みにさらなる勢いをつけることになる。2007年以降、13カ国が完全に死刑を廃止し、ギニアとモンゴルの2カ国が完全廃止に向け大きく前進してきた。

また、今回の投票状況に、いくつかの歓迎すべき変化が見られる。ギニア、マラウイ、ナミビア、ソロモン諸島、スリランカ、スワジランドが賛成国に加わったのだ。さらに、ジンバブエが反対国から棄権国に転じた。残念なことに、赤道ギニア、ニジェール、フィリピン、セーシェルが支持から棄権に、ブルンジと南スーダンが支持から反対に、モルディブが棄権から反対に回った。

1945年に国連が創立された当時は加盟国51のうち、廃止国はわずか8カ国だった。現在は193加盟国のうち、101カ国が死刑を法律で完全に廃止しており、事実上死刑を廃止している国を加えると、138カ国が死刑を廃止していることになる。2015年には全体の88%にあたる169カ国が、死刑を執行しなかった。

アムネスティは、犯罪の種類や状況、有罪・無罪、個人の特質、死刑執行方法などを問わず、例外なく死刑に反対する。また、死刑存置国に対し、直ちに執行の停止を行い、すべての死刑判決を減刑し、いかなる犯罪にも死刑を適用しないことを要請する。

アムネスティ国際ニュース
2016年12月19日