先住民族/少数民族 - ウイグル人

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中国・西北部に新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)という最大の自治区があります。ウイグル人はテュルク系の言語を使用し、大部分が中央アジアを中心に長い歴史を持つ、スンニ派のイスラム教徒です。

ウイグル人のアイデンティティは中国政府の民族政策によって脅かされています。ウイグル語の使用制限、宗教の自由への厳しい制限、そして継続的な新彊ウイグル自治区への漢民族の流入など、中国政府の政策は、民族の習慣を破壊し、雇用差別とあいまって、不満や民族間の緊張を増幅しています。中国政府による攻撃的なキャンペーンの結果、自らの権利を平和的に行使しただけで数千人のウイグル人が、「『テロリズム』、分離主義、宗教的過激主義」容疑で逮捕または恣意的に拘禁されています。

ウイグル語での教育を制限

中国当局は、新彊ウイグル自治区の学校組織を「バイリンガル」にすると主張していますが、実際は中国語を唯一の教育言語とした言語政策を進めています。この政策は、1990年代に大学レベルの教育において、ウイグル語を排除することから始まりました。現在、新彊大学ではウイグル詩のコースのみがウイグル語で教えられています。2006年、当局は、就学前レベルで使用する主たる教育言語を中国語とする、政策措置を開始しました。

新彊ウイグル自治区南域の都市部出身の子どもや教師たちは、「学校構内で、ウイグル語を一言でも話せば、罰せられるだろう」と報告しています。これでは真の「バイリンガル(二重言語主義)」と矛盾しています。

国連子どもの権利委員会は、「初等・中等教育レベルで使用する全ての教育・学習教材が、少数民族の言語を使用し、かつ文化的配慮がなされているものを使用できるよう保証すべきである」と、中国当局に要請しました。

制限された宗教活動

中国当局は、地方のイスラム教指導者任命に干渉したり、モスク内外に警察を配備し、宗教活動、モスクそして宗教指導者すべてを厳重な管理下に置いています。新彊ウイグル自治区の政府職員(教師・警官・国営企業労働者・公務員を含む)は、宗教活動を行なうと職を失う危険があります。また、ウイグル人のメッカ巡礼を、中国当局は繰り返し妨害しています。全てのイスラム教徒にとってメッカ巡礼は必要不可欠なものです。

18歳以下の子どもはモスクへ入ることや宗教教育を受けることが許されません。親も自分の子どもに宗教について教えることが許されません。モスクに入ったり、家でお祈りをしているところが見つかると、学校から追放されてしまうと、子どもたちは恐れています。

ウイグル人女性と少女への人権侵害

国家による人口抑制政策に従わされる少数民族

中国では、一人っ子政策という厳しい人口抑制政策が実施されてきました。このことによって、女性の「リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(性と生殖に関する健康/権利)」や子どもを何人持つか夫婦や家族を主体として計画的に考え決める権利が、中国では尊重されず、国家による「計画出産」が実施されてきました。

人口比率からすると、チベット人やウイグル人などの少数民族は、中国の全人口の9パーセントにも満たないと言われていますが、中国の国家統合という点から、イスラム系民族としてのウイグル人女性たちに対しても、国家による人口政策は押し付けられ、適用されてきました。

ヒューマンライツウォッチのワールドレポート(2005)によると、中国では、文化的に男の子を欲しがる傾向と国の人口抑制政策があいまって、内地の農村地域では女性・少女が少なくなり、人身売買業者にとっては儲かる市場が創出されています。特に農村地域に住む少数民族コミュニティ出身の多くの女性・少女が拉致され、「妻」として、または、性産業に売買されるのです。

強制移住させられるウイグル人女性

ウイグル人の元「良心の囚人」であるラビヤ・カーディルさんは、2007年11月に米下院人権連盟(Congressional Human Rights Caucus)で、かなり多くのウイグル人女性・少女が、安価な労働力や性的搾取を目的に強制移住させられ、その事実が、ウイグル人の人口減少に繋がっていると指摘しました。

アムネスティ・レポート(2008)でも、中国当局が労働力不足への対応と称して、新疆ウイグル自治区に漢民族を大量に移住させる方針をとっていることが指摘されています。一方で、20万人以上とも言われるほど膨大な数の若いウイグル人女性・少女が、中国当局に強制されて送り出され、過酷な労働条件と低賃金で働かされています。

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