イタリア:ロマへの住宅政策は欧州社会憲章違反 政府は早急の対応を

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2024年5月24日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:イタリア
トピック:先住民族/少数民族

欧州評議会の欧州社会権委員会は、イタリアがロマのコミュニティの住宅に関して、深刻かつ組織的に欧州社会憲章に違反しているとする全会一致の決定を下した。この決定はイタリアの差別的な住宅政策に変化をもたらすべきだ。

イタリアのロマの人びとは長年、さまざまな面で差別と不平等な住宅政策に直面してきたが、今回の決定は、長年にわたり何度も指摘されてきたこの問題を確認するものだ。

少数民族のロマは劣悪な居住地域に隔離され、公的住宅からはほぼ排除されてきた。また広範囲にわたる立ち退きを受け、何千人もがホームレスになっている。

欧州社会権委員会の今回の決定は、アムネスティが2019年3月、同委員会に提出した申し立てに対するものだ。この申し立ては、アムネスティとパートナー団体が、ロマの住宅状況、特にローマ、ミラノ、ナポリの都市部における状況を10年以上にわたって行った調査に基づくものだ。

欧州社会権委員会による審議中、イタリア政府は限定的で断片的な進展を伝えたが、同委員会はイタリアがすべての点で義務違反を犯しているとの判断を示した。イタリア政府は、強制立ち退きが依然として行われており、救済の法的枠組みを整備していないことを認めた。また同委員会は、「ロマ、シンティ、カミナンティの人びとの隔離は現在も依然として続いている」と付け加えた。

イタリアはロマの人びとのために、隔離や差別のない適切な住宅を確保するのみならず、差別や隔離に遭った人びとが長らく待ち望んできた正義を実現すべく、なんらかの救済措置を講じる必要がある。

アムネスティは10年以上にわたり、不安定な状況での生活を強いられてきた何千人ものロマの人びとを調査してきたが、そこで報告された権利侵害や苦情は依然として続いている。今回の決定はこの何十年にもわたる差別に終止符を打つものでなければならない。

イタリア政府はまた、ロマ差別の根本的な原因に対して必要とされるあらゆる策を講じ、ロマの人びとに対して今も続いている人権侵害を今度こそ終わらせなければならない。

背景情報

アムネスティが2019年3月18日に提出した申し立てには、強制立ち退きや劣悪な居住環境での隔離キャンプの継続的使用、不平等な住宅政策などが詳述されている。

基本的な社会的・経済的権利を保障する欧州社会憲章を監視する同委員会は、この申立ての審議を承認した。

アムネスティが申し立てを行った時点で、イタリアではおよそ26,000人のロマの人びとが隔離された劣悪な環境に住んでいたが、現在もなお、15,000人以上が政府の認可・非認可に関わらず、民族的に隔離された差別的で劣悪な住宅環境で暮らしている。政府非認可の居住地では、国際法に反して強制立ち退きが違法とされていない。

過去20年間、イタリアは国連、EU、欧州評議会の人権機関から幾度にもわたり、ロマの人びとに対する人権義務違反を指摘されている。

アムネスティ国際ニュース
2024年5月13日

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