- 2005年6月 1日
- 国・地域:アフガニスタン
- トピック:女性の権利
アフガニスタンでの女性や少女に対する暴力は広範囲に及んでいる、と最新報告書「アフガニスタン:攻撃にさらされる女性」の発表に際し、アムネスティは語った。
報告書では、「暴力を受けず、その恐れを感じない女性は、同国内にはほとんどいない」としている。
武装した者に誘拐、強かんされ、強制結婚させられ、揉め事や借金の清算として取引される恐れに、アフガン女性は日々さらされている。また、役人だけでなく、社会のあらゆる層からの差別にも直面している。女性に対する暴力は、地域社会から広く容認されており、政府や司法高官らの対策は不適切だ。暴力行為、強かん、殺人、女性の自殺などに対する申立に対する捜査は、日常的なものでも組織だったものでもなく、ほとんど起訴に結びつかない。
「女性に基本的権利を享受させないことを正当化する口実として、伝統や宗教に名を借りた社会規範が利用されている。そうした規範に違反したと認識すると、女性を収監し、殺害にまで至ることもある。こうした状況から逃げ出した女性を犯罪者であるとし、投獄する当局者もいる」と、アムネスティは話した。
アフガニスタンは長年続いた紛争の後、再建の過程にあるが、配偶者、父親、兄弟、武装した者、並立する司法制度、警察や裁判制度といった国家そのものなどによる侵害を受け続けている。強制結婚が増加していると言われ、逃れるため焼身自殺をする女性もいる。
「配偶者、兄弟、父親は家庭で起きる暴力の主たる加害者であるが、国家当局者や非公式な司法制度の両方が、こうした人びとがふりかざす社会的統制や権力を増強している」と、アムネスティは強調した。
「アフガニスタン当局は、人権侵害を行なわず、国家関係者だけでなく私人や集団による人権侵害から女性を保護する義務がある。すべてのアフガン女性を保護するため刑事司法制度の改革は欠かせず、法基準を提示するのは国家の責任である」
国際人権基準では、平等、生命、自由、安全への権利のみならず、差別されない権利、拷問その他残虐で、非人道的な品位を傷つける取り扱いを受けない権利など、女性の権利を保障するために、アフガニスタンは相当な配慮を行なわなくてはならない。
アムネスティの報告書では、アフガニスタンは、女性や少女の権利を尊重し、保護し、実現していないと強調している。同国は責任を認め、アフガニスタンに住む女性も男性も、暴力を受けずに生活する権利を十全に実現しなくてはならないと、強く主張している。
アムネスティは、アフガニスタンでの差別や暴力を根絶するため最低限不可欠なこととして、同国政府に以下を要請する。
- ・家庭内での暴力、非公式な制度による暴力、国家職員による暴力など、女性や少女に対するあらゆる暴力を公式に全面的に非難すること。
- ・女性の権利を保護促進するような基準を設けるため、司法や警察の関係者に総合的な訓練を提供するなど、刑事司法制度改革の強化を継続すること。
- ・女性に対する暴力を根絶する義務を逃れるため、慣習、伝統、宗教に関して考慮しないこと
- ・家族の問題に関して女性に対する差別を内包するか、そうした差別を許容するような法(刑法など)、規制、慣習、習慣を改正あるいは廃止すること。
同時に、国際支援社会に対し、女性や少女がその権利を実現するような方法でアフガニスタン再建を引き続き支持し、女性に対する犯罪を終結させるように同国政府に働きかけ支援するよう、アムネスティは訴える。
AI INDEX: ASA 11/008/2005
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