- 2005年6月 4日
- 国・地域:日本
- トピック:死刑廃止
アムネスティ・インターナショナルのアイリーン・カーン事務総長は、5日間にわたる東京訪問を終えるにあたって、そのように語った。
「日本は、まず国内の人権状況をもっとまともにするべきだ」
受刑者の処遇を改善しようとする最近の立法を歓迎しつつも、アムネスティは、ただちに取り組まなければならない大きな問題が残っていると、注意を喚起した。
「代用監獄制度は秘密主義で覆われている。外部からの監視がない中での取調べや自白の強要などは、決して容認することはできない」アイリーン・カーン事務総長はそのように強調した。
「代用監獄は日本の人権史に残る汚点であり、ただちに廃止されなければならない」
「昨年日本で死刑判決を受けた人数は、過去25年間で一番多い。これは死刑廃止に向かっている国際的な流れに真っ向から逆行している」と、カーン事務総長は語った。
「日本は、先進主要8カ国(G8)の中で、死刑を執行しているたった二カ国のうちの一つである」
アムネスティは、日本政府に対し、ただちに死刑執行を停止し、死刑廃止に向けた公の議論を起こすよう求めた。
「特に自白に偏重した有罪判決が多く、代用監獄制度が存在するがゆえの誤判の危険性は、あまりに高く、受け入れがたい。死刑はただちに廃止されるべきである」
アムネスティは、難民申請者を幅広く長期にわたって収容していることを批判した。収容期間は、平均して13ヶ月以上に及んでいる。多くが収容中、医療措置をうけることが許されない。
「日本政府はただちに、収容されているすべての人びとの事例を見直す正式な手続きを確立するべきである。収容は、例外的な場合に限られるべきだ」とカーン事務総長は強調した。
難民認定制度上の不備を指摘したうえで、アムネスティは、日本政府に対し、1951年難民条約上の義務にしたがい、公正で透明性のある制度を確保するよう要請した。
日本政府は、さらなる研修が必要であることを認め、アムネスティに支援を要請した。
日本は、人身売買への対処が不十分であるという批判をうけてきた。この問題を是正するため日本政府がはらってきた努力に言及しつつ、アムネスティは、女性や少女を中心とする被害者を保護するためにさらに多くの取組みがなされるべきであると強調した。
「人権は日本の国内にとどまるものではない。朝鮮民主主義人民共和国からインドネシア、アフガニスタンからビルマ(ミャンマー)という、この地域における大きな人権問題を考えると、日本政府は、その外交政策の中に人権に関する配慮を大胆にとりいれるべきだ。日本政府は、国際司法、武器規制、そして国連人権機関の改革に対する真摯な姿勢を明確に示さなくてはならない」とカーン事務総長はつづけた。
アムネスティは、日本に対し、来るG8サミットにおいて、武器貿易条約(ATT)のための提案を支持するよう求めた。
アムネスティはまた、日本に対し、国際刑事裁判所設置規程(ローマ規程)へ加入するよう求めた。
「日本政府は、国際刑事裁判所に協力的ではあるものの、加入には二の足をふんでいる。迅速な加入によって、日本は、国際司法に参加するという明確なメッセージを送ることになる」とカーン事務総長は断言した。
国連安保理の拡大だけでなく、国連人権理事会というより権限が大きく信頼性の高い機関を設置しようとする国連改革の動きは、日本にとってリーダーシップを発揮する絶好の機会である。
「国連安保理の常任理事国入りをめざす日本の熱意は、人権に関する義務を果たすという強い決意に裏打ちされたものでなくてはならない」とカーン事務総長は締めくくった。
「今こそリーダーシップを示すときだ」
背景
5日間の日本滞在中、アイリーン・カーンは、細田官房長官、南野法務大臣、外務省高官、JICA理事長・緒方貞子氏、猪口邦子氏、国会議員、日本弁護士連合会、企業経営者、NGO関係者、外交官、研究者などと会合した。
アムネスティ発表国際ニュース
2005年6月4日
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