- 2005年6月18日
- 国・地域:ミャンマー(ビルマ)
- トピック:危機にある個人
本日6月19日、アウンサンスーチーは自宅軟禁のまま60歳を迎える。これにあわせアムネスティ・インターナショナルは、政治活動家の新たな逮捕や、長期間その状況が憂慮されているアウンサンスーチーほか何百人もの良心の囚人や政治囚についての詳細な報告書を発表する。
アムネスティはビルマ当局に対し、司法制度を乱用して平和的な政治活動を封じ込めることを止めるよう、またすべての良心の囚人を即時無条件で釈放するよう求める署名活動を、全世界で展開している。
「アウンサンスーチーさんはここ16年間のほぼ3分の2にあたる年月、自由を奪われてきた。その間、起訴も行われず裁判の機会も与えられなかった。これは彼女の平和的な政治活動に対する、まったく承服しがたい代償である。」とアムネスティ事務総長のアイリーン・カーンは述べた。「アウンサンスーチーさんやその他平和的な政治活動だけを理由に拘禁されているすべての人びとは、即時無条件で釈放されなければならない。」
2005年2月と3月の2ヶ月間に逮捕された国会議員の数は、2003年5月以降の21ヶ月間の議員逮捕者数を上回っている。2005年2月以来、少なくとも5名の反軍政側の国会議員(1990年の選挙時に選出)が当局に逮捕された。ビルマ当局の国家平和発展評議会(SPDC)は、この1990年の選挙結果を頑なに認めていないままである。シャン民族民主同盟の議長であるクントゥンウーを含む、少なくとも10名のシャン人政治家が2005年2月に逮捕された。
ビルマには少なくとも1350人の政治囚がいる。その中には、詩を書いたり雑誌を発行して、学生連合を結成する権利を求めたり平和的なデモを呼びかけたために投獄された良心の囚人も含まれている。彼らは拷問や虐待を受けることが多く、弁護士との面会が認められずに隔離拘禁され、不公正な裁判で抑圧的な法律により刑を宣告されている。
「ビルマの政治囚は当局により人質にとられている。当局は政治プロセスから経験豊富な指導者を追い払うために彼らを拘禁し続けており、そのことが大きな障害となって、1988年以降の同国の政治的な行き詰まりが解決されずにいる。」とアイリーン・カーンは述べた。
「司法制度とは本来、ビルマの全国民の人権を保護すべきものである。しかるにそれが組織的に乱用され、表現・結社・集会の自由を平和的に行使する権利を否定し制限している。」
SPDCは反軍政側の中心的な政党である国民民主連盟(NLD)の指導者アウンサンスーチー、および他の政治囚を、「然るべき時期に」釈放する、と長年約束し続けてきた。
背景
ビルマ当局は、1988年の一党支配に反対するデモおよび、NLDが大多数の議席を獲得した1990年の選挙以降、NLDメンバーや学生活動家など何百人もの反軍政側の政党のメンバーを拘禁してきた。
そもそも逮捕されるべきではなかった囚人たちは年老いてきており、刑務所内の過酷な環境の中で慢性的な健康問題に苦しんでいる。拷問や虐待に相当するような罰としての扱いを受けることも多い。多くの人びとが拘禁中、刑務所で死亡している。
高齢で健康状態が悪い囚人の中に、1989年7月以来拘禁されている75歳の編集者ウィンティンがいる。彼は当局への平和的な抗議活動を行ったため、また刑務所内の人権侵害について国連に伝えようとしたため、刑に処されている。
その他にも、刑期を終えてもなお起訴もなしに拘禁されつづけている良心の囚人たちがいる。NLD国会議員で深刻な病気を抱えているタンニェイン博士やメイウィンミン、またアウンサンスーチーのノーベル平和賞受賞を受けての平和的なデモに参加したために1991年以来投獄されている学生指導者のミャッサンなどは、その一部である。
6月16日発表の報告書:Myanmar’s political prisoners: A Growing Legacy of Injustice(英文)をご覧になりたい方はこちらからどうぞ
http://web.amnesty.org/library/Index/ENGASA160192005?open&of=ENG-MMR
AI Index: ASA 16/020/2005 (Public)
翻訳:ビルマ(ミャンマー)調整チーム
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