ミャンマー:ロヒンギャ大規模迫害から8年 残虐行為の責任追及を

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2025年8月28日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:ミャンマー
トピック:先住民族/少数民族

ミャンマー軍と当局がミャンマー・ラカイン州のロヒンギャ住民に対して大規模な残虐行為を開始してから、8月25日で8年が経つ。

2017年8月から、ミャンマー治安部隊はラカイン州北部全域で数百のロヒンギャ村落を焼き払い、子どもを含むロヒンギャの人びとを殺害し、少なくとも70万人がバングラデシュへの避難を余儀なくされた。ミャンマーに関する独立国際事実調査団はジェノサイドと人道に対する罪の証拠を記録している。

残虐行為が始まって以来、ロヒンギャに対する犯罪についてミャンマー国内で責任を問われた者は1人もいない。2021年には軍がクーデターを起こし、民主的に選出された文民政府を転覆させた。それ以来、軍事政権は人道に対する罪と戦争犯罪を続けている。犯罪行為には、学校、病院、避難民キャンプ、礼拝所などの民間人および民間インフラを標的とした空爆も含まれる。

ラカイン州にいまもいるロヒンギャの人びとは、依然として深刻な危険と迫害に直面している。軍事政権による移動制限と支援の遮断で、食糧不足と健康への懸念が悪化。また、ミャンマー軍事政権とロヒンギャ武装勢力が、バングラデシュとミャンマーにおいてロヒンギャの人びとを違法に徴用し、ラカイン族の武装組織「アラカン軍」との紛争に投入している。アラカン軍も強制徴用を行っている。

アラカン軍は近年、ロヒンギャに対する超法規的処刑、拷問、強制労働、大規模な放火などの深刻な人権侵害を犯している。2024年半ばから、推定15万人のロヒンギャがバングラデシュへと逃れた。

バングラデシュ・コックスバザールの難民キャンプでは、100万人以上のロヒンギャ難民が拉致や性暴力にさらされ、医療・教育・食糧支援も削減されるなど、ますます深刻な状況に置かれている。

国際刑事裁判所(ICC)はミャンマーとバングラデシュでの残虐犯罪を調査中であり、国際司法裁判所はガンビアがミャンマーを提訴したジェノサイドの審理に際し暫定措置を発令した。こうした迫害への責任追及が進んではいるものの、不処罰の状態は続いている。

2024年11月、ICC検察官はミャンマーのミンアウンフライン国軍総司令官に対する逮捕状を請求した。公開情報に基づけば、逮捕状請求は現在もICC判事の審議・承認待ちの状態である。

アムネスティを含む58の団体は、国連安全保障理事会に対し、ミャンマーにおける状況を直ちにICCに付託し、あらゆるコミュニティに対して行われた犯罪に対する包括的な責任追及を確実に行うよう強く要請する。加えて国連加盟国は、アルゼンチンの例にあるように、国内の裁判所を通じて国際法上の犯罪の加害者に対する刑事訴追を開始・支援するなど、普遍的管轄権を行使すべきである。

2021年以降の人権侵害の大部分はミャンマー軍によるものだが、私たちはミャンマーの武力紛争に関わる全当事者に対し、国際人道法に従うこと、そして独立調査団を含む国際司法の枠組みを受け入れるよう求める。

さらに、国連総会の決議に基づき2025年9月30日にニューヨークの国連本部で開催されるロヒンギャなどミャンマーの少数民族の状況に関するハイレベル会合が、この危機への関心を高めることを期待する。しかしながら、会合ではロヒンギャの代表が不在であることを懸念する。協議にはミャンマー、バングラデシュをはじめ世界中にある多様なロヒンギャの市民社会など、より幅広い声が必要である。ロヒンギャの人たちが自らの未来に関する議論の最前線に立たねばならない。

ハイレベル会合をより包括的なものとし、被害者に中心を置き、責任追及と持続可能な解決策(市民権回復や経済的・社会的・政治的権利の保障など)に焦点を当てることを強く要請する。

ロヒンギャ難民を受け入れているすべての国に対し、ロヒンギャ難民が教育を受けられ生計を立てるための手段・機会が得られるようにし、ミャンマーへの強制送還の脅威にさらされないようにするなど、彼らの権利を保護することを強く求める。

私たち58団体は結束して、不処罰に終止符を打ち、ロヒンギャが安全かつ尊厳をもって生きる権利を手にし、ミャンマー市民として完全に認められ、国の未来をつくる過程に彼らの声が反映されるよう、要請する。

アムネスティ国際ニュース
2025年8月22日

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