- 2005年9月14日
- 国・地域:ミャンマー(ビルマ)
- トピック:先住民族/少数民族
2005年9月7日に発表された新しい報告書によると、数万人にものぼる少数民族の民間人がビルマ(ミャンマー)国軍によって強制労働に駆り立てられ、暴力・土地の没収・家屋の破壊を受けている。
アムネスティ・インターナショナルはタイへ移住したビルマ人100名以上を対象に聞き取り調査を行い、人権侵害が引き続き行なわれていることを明らかにした。国連の情報によると、ビルマではほぼ6人に1人は十分な栄養を摂取できておらず、また子どもの3人に1人は慢性的な栄養失調症にかかっている。人権侵害はこうした状況の一因になっている。
新しい報告書(Myanmar:Leaving Home)では、 ビルマ国軍がいかに少数民族の民間人を搾取しているかを述べている。土地を没収し作物・家畜を盗み、金銭を強奪し、女性・子どもを問わず強制労働をさせている。
こういった人権侵害は、反軍政側の少数民族武装勢力への支援を断ち切ろうとする中で起こるのだが、当局が国軍に自給自足を求める方針を実施して以降、状況は悪化しつつある。
「ここ10年間、経済と政治における権利が広範囲にわたって奪われてきた結果、何十万人という労働者がビルマから近隣諸国へ移住せざるを得なくなっている。国軍による強制労働、集団立ち退き、土地・食糧の没収は、国際法、国内法のみならず人権への明らかな違反行為である。」とアムネスティのアジア・太平洋計画次局長であるナタリー・ヒルは語った。
報告書の主な調査結果
- ビルマが1955年に加盟した国際労働機関の条約(第29号)に反して、荷役、建設作業、農業のために男性、女性、子どもを強制労働として広範囲に使用している。
- 強制的な集団立ち退き、土地の没収、家屋の破壊を行いながらも、これに対する補償をしない。
- 民間人は軍に供給するコメなどの食糧を運ぶよう強制され、要求されたペースに遅れると殴打、殺害される。
- 国軍による習慣的な虐待、恣意的な拘禁が行われている。
- 国軍が村人の作物、家畜、私有財産、現金を盗むため、被害者は住居や食糧も充分に無い状態におかれる。
- 軍政は、国連やその他の機関が農村部を訪れることを禁止しているため、住民への支援が妨げられている。特に国境付近の少数民族地域について、制限が厳しい。
「すべてがめちゃくちゃでした。村人の財産や暮らしは破壊されました。あまりの被害に村人たちは路上にさまよい、ホームレスの物乞いさながらでした。国軍が私たちの村にしたことは断じて許せません。
タニンダーイ管区のタイェッチャウン郡出身でタボイのビルマ人である27歳の女性は、農地を2001年5月に国軍により没収された。
アムネスティはビルマ当局に対し、強制労働の使用をただちに止めるよう求める。
それはビルマ自身の国内法のみならず国際的な義務に違反している。またアムネスティは、正規の手続きを踏まずに民間人を立ち退きさせること、民間人の必要性を考慮せずに私有財産を徴発することを止めるよう、求める。
報告書Myanmar: Leaving Home,は以下のウェブサイトでご覧いただけます。
http://web.amnesty.org/library/index/engasa160232005
アムネスティ国際発表ニュース
AI Index: ASA 16/024/2005
2005年9月7日
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