ミャンマー(ビルマ):強制労働の使用とそれに抗議する人の処罰を止めよ

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2005年11月24日
国・地域:ミャンマー(ビルマ)
トピック:危機にある個人
国際労働機関(ILO)はビルマ(ミャンマー)における強制労働の使用について議論しているが、アムネスティ・インターナショナルは同国の人権状況が悪化していることに懸念を表明する。

国軍は強制労働のため(国軍のための労働も含む)に民間人を捕らえ、また、農夫から土地を没収し、子どもを兵士として使用し続けている。さらに、当局はこういった人権侵害にILOや当局の役人の注意を向けさせようとした人びとを脅迫し、投獄している。

 アムネスティは国家平和発展評議会(SPDC)に対し、地方の役人や国軍が強制労働プロジェクトに民間人を使用しないよう、また強制労働を犯罪とみなす法令を実行することを保証するよう要求する。さらに、当局による強制労働その他の侵害を通報した理由で人びとを罰することがないよう、また、そのような平和的な活動のため不当に投獄された人びとを即時、無条件で釈放することを当局に要求する。

 2005年10月、強制労働と土地の没収の問題に当局とILOの注意を向けさせようとした村人ススヌェイと弁護士のエーミンはそれぞれ18ヶ月と7年の懲役を宣告された。さらに強制労働の最中に死亡したと考えられている人の遺族が地方当局に補償を求めるのを支援していた3人が2005年11月後半に裁判を受ける。

 アムネスティは最近、少数民族シャンの政治家が大逆罪で秘密裁判を受けたことを懸念している。その後、彼らは70年から106年の懲役を宣告された。その罪は彼らが平和的な政治的討論に関与したことに関連していると考えられている。

 政治的な裁判では法の適正手続きを受ける権利があからさまに無視されており、また、適切な医療措置が囚人に行なわれていない。多数の政治囚が2005年7月に釈放された一方で1100人がいまだ投獄されている。その中には年老いて健康状態が悪いまま長期の刑に服している良心の囚人や、アウンサンスーチーやティンウーを含む政治的な指導者が、起訴や裁判なしで囚われている。

背景情報
 無報酬の強制労働は、ビルマ軍政も批准しているILO条約の第29条に違反している。2000年にビルマで強制労働が犯罪とされたにもかかわらず、強制労働の使用はいまだ続いている。

ビルマ軍政にILO29条を遵守させるため、ILO国際労働機関はさまざまな手段をとってきた。最近では2005年6月に、SPDCがILOの数多くの勧告を無視しているとの非難を発表した。2005年6月に行われたILO総会においてILOの委員たちは、ビルマ当局が「強制労働があるという虚偽の申し立てが多く、これが政府を消耗させ国家の尊厳を低下させている。このような虚偽の申し立てを行った者に対して、法的処置を取らざるを得ない。」と発言したことについて、懸念を表明した。

ILOはまた、次のような内容も報告した。ビルマ軍政当局は、ヤンゴンにあるILO事務所の担当官がヤンゴンを離れることを制限するなどして、強制労働が行われたという報告の調査ができないようにしている。軍政の統制下にある新聞はILOを非難する記事を掲載し、ILO事務所は殺害をほのめかす脅迫を受けた。

当局は相変わらず、法の支配や人権を守ろうとする合法的な活動を、政府の崩壊をもくろむ活動と位置づけている。人権侵害に対する苦情を申し立てようとした人びとは、脅迫やいやがらせを受けたり禁固刑を宣告されたりしている。アムネスティはビルマ軍政に対し、強制労働や役人による暴行を正直に報告した人びとを罰しないよう、強く申し入れる。公共の事柄に参加すること、表現の自由、人権侵害や政府の政策全般に平和的に抗議することは、人権擁護活動家についての国連宣言およびそのほかの国際法や国際規準に認められている権利である。SPDCは、人権に関して活動家や個々人が国際機関に自由に接触することを妨げてはならない。

最近拘禁された人びと

2005年10月31日、50歳代の弁護士エーミンは、地元当局によって土地を強制没収された農民たちの苦情を軍政に届けたかどで7年の禁固刑を宣告された。情報によると彼は、農民たちが当局宛に書簡を書くのを助け、さらにそのコピーをヤンゴンのILO事務所にも送ったという。彼の有罪判決には緊急法が適用された。この法のもとでは、社会不安を引き起こす可能性があるという前提のもとに「虚偽の情報を、虚偽であること、または虚偽と信じるに足る理由があることを知りながら故意に流布した」者を拘禁することができる。この弁護士が陳情を代行した農民たちは起訴されていないもようで、事件に関わった人びとはみな、エーミンが彼らの合法的な苦情を弁護士としての職業上、当局に送っただけであることを裁判で証言したという。エーミンはこれまでにもILOとの接触をはかるなどして大逆罪で死刑判決を受けたが、実刑3年に減刑され、今年1月に釈放されたばかりだった。

2005年10月16日、村人のススヌェイは、ある裁判が公正を欠いていたと言って村の役人を名誉毀損したかどで18ヶ月の禁固刑に処せられた。この判決は、ススヌェイが、自分や他の村人たちが道路建設の強制労働に従事させたことについて村の役人らを訴えたことと関連していると思われる。彼女が訴えを起こした時、役人らは彼女が自分たちを罵ったと主張し、「殺すぞ」と言って脅したという。

2005年11月5日、少数民族シャンの政治家数名が秘密裁判によって禁固70年から106年という判決を受けた。罪名は大逆罪である。彼らは、2005年2月に国民会議が再開される直前に政治集会に参加したことで罰せられたと思われる。判決を受けたのはシャン民主連盟の議員クントゥンウーとその他9名のシャンの政治家らで、2005年2月に拘禁されてから家族や弁護士との接見を一切許されていないままであった。

今月末、弁護士でありNLD(国民民主連盟)の議員でもあるテインザン(67歳)と村人2名とは、親族が強制労働中に事故死したといわれている件に関して当局に報告しようとしていたある家族を支援したかどで裁判を受ける予定である。

アムネスティ発表国際ニュース
(2005年11月16日)
AI Index:ASA 16/025/2005
アムネスティ・ビルマ(ミャンマー)調整チーム翻訳

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