ロシア連邦:プーチン大統領はロシアの市民社会づくりに積極的に取り組むべきだ

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2006年7月 6日
国・地域:ロシア連邦
トピック:危機にある個人
(モスクワ)ヴラジーミル・プーチン大統領は、昨日、サンクト・ペテルブルクで行われるG8( 先進8ヵ国首脳会議)に先がけて非政府組織(NGO)と会議を行い、市民団体に関する法律の実施を見直すという公約を発表したが、大統領はこの公約をただちに実行に移すべきである。

他の国内外のNGO同様、アムネスティ・インターナショナルも、ロシア連邦での市民社会の合法的活動を阻み、国際基準を満たしていないこの法律を修正するよう求めている。

大統領は、連邦法の修正は否定したが、実施規定の見直しについては同意した。大統領は、国内外のNGOの合法的活動が妨害されることはないと約束した。

「連邦法の最も悪い面が明らかになる前に、一刻も早く見直しが行われるべきです」と、7 月4日、モスクワで行われた国際NGO代表団とプーチン大統領との3時間におよぶ非公式会談の終了後、アムネスティ事務総長のアイリーン・カーンは述べた。

「G8という国際舞台の場だけにとどまらず、ロシア国内においてNGOが真に活動しやすい環境をつくりだせるかどうかが、大統領の公約の試金石となるでしょう。」

市民団体に関する新しい法律は、2006 年1 月10日にプーチン大統領が署名し、3か月後に施行された。大統領は、この法律の目的はNGO活動の規制ではなく、秩序をもたらすためだと釈明しているが、アムネスティは、関係当局にロシア国内や国際NGOの資金と活動について監視する権限を強化するこの法律は、NGOの活動の妨げになるとみている。これまでの経験から言って、この法律は、実質的な活動ではないところに資源を振り向けさせ、NGOに過度の負担を負わせるもので、恣意的に適用できるような規制の枠組みや明確な法的定義がないような規定を持ち、罰則規定も不釣合いである。

ロシア側の要求で、欧州評議会(人権、議会制民主主義、法の支配を擁護するために設立された政府間機関)がこの法律の第一草稿を検討し、いくつもの提言を出し、そのいくつかはドゥーマ(ロシアの国会)が採択した修正案を通して最終法案にも組み込まれた。しかし欧州評議会は、この法律が規定する「過度の監視権限」、また国外NGOをさらに厳しく規制する修正案による差別的影響の危険性について、依然として懸念を抱いている。

会談でプーチン大統領は、ロシア連邦内で「政治的活動」に関わる人物に海外から資金が提供されることについて、絶対的な反対の意を改めて表明した。しかし、政治的活動が何をさすのかについて、同法律は明確に定義していない。アムネスティとその他のNGOは、このような曖昧な枠組みは、ロシア政府の人権政策に批判的なNGOに対して法の規制と運用が適用されることを許すことになるのではないかと懸念を抱いている。

「国連憲章は、市民社会の正当性を認めています。また近年、市民社会が、単に影響をおよぼすだけでなく、実際に世の中を動かすということを、私たちは目の当たりにしてきました」と、アイリーン・カーン・アムネスティ事務総長は語った。

「国際と国内のいずれにおいても政策の改革を求めることが市民社会の基本的な役目であり、その中でNGOは重要な役割を担っています。このようなNGOの役割やその他の合法的な活動を規制するような法律によって、ロシア政府は真に自由で独立した市民社会のために取り組んでいるのか、疑問を呼ぶ結果となっています」とアイリーン・カーンは付け加えた。

ロシアは現在、G8と欧州評議会の閣僚委員会の議長として、また、国連安全保障理事会の常任理事国、新しく設置された国連人権理事会の理事国として、国際舞台で指導的役割を担っている。そのため、アムネスティは、プーチン大統領がそのリーダーシップを発揮して国内外の市民社会の訴えに耳を傾けるよう求めている。

「私たちは、プーチン大統領が公式・非公式に国内外のNGOと会談し、積極的に協議に参加してくれたことに感謝しています。しかし今度は、NGOがロシア連邦において不当な重荷や規制を受けることなく活動できるようにするよう、確固とした行動によって言行が一致するよう努力することが必要です。でなければ、プーチン大統領の提案は単なる広報活動に終わってしまうでしょう」と、アイリーン・カーンは語った。

背景

7月 15日から 17日にロシアの サンクト・ペテルブルクで行われるG8サミットに先がけて 、7月 4日、12の国際NGO団体の代表とプーチン大統領との会合が開かれ、アイリーン・カーンも出席した。この会合では、プーチン大統領と国際NGOの代表が、エネルギーと環境、貧困と開発、人権と世界の安全保障などさまざまな課題について話し合った。会談の多くの時間を占めてNGO法について話し合われたが、プーチン大統領はその中で、法の実施を見直すという公約を果すことを再度確認した。この公約は、先にCivil G8という世界中のNGOが集まったフォーラムの場で明らかにされていた。

アムネスティ国際ニュース
(2006年7月5日)
AI Index: EUR46/031/2005

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