- 2025年5月29日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:ロシア連邦
- トピック:
ロシア当局はアムネスティが「好ましくない組織」であり、アムネスティの活動だけでなく、アムネスティと関りを持つことも違法と見なすと表明した。
この決定は異論を封じ、市民社会を孤立させようとするロシア政府の多岐にわたる方策の一端だ。多数の活動家や反体制派が投獄されたり、殺されるか追放されるような国、あるいは独立したメディアが中傷され、妨害され、自己検閲を強いられるような国、そして市民社会組織が非合法とされたり解体されるような国で、ロシア政府に禁止されるならば、正しいことをしているという意味になる。
「好ましくない」というレッテルを貼れば、私たちが人権侵害を記録し糾弾するのをやめると考えているのなら、それは大きな間違いだ。まったく逆で、私たちは脅迫に屈することなく決意を新たに、ロシアの人びとが差別を受けることなく人権を享受できるよう活動を続けていく。ロシアがウクライナで行った戦争犯罪を調査し世界に向けて発信し続け、ロシアが国内外で犯したのロシアのひどい人権侵害を暴く取り組みを一層推し進める。
私たちが、人権を守るために立ち上がって拘束された人びとの釈放を求める闘い、不正義に対する抗議の声を抑え込む抑圧的な法律撤回に向けた闘いをやめることは、決してない。ロシア、ウクライナ、あるいはどこでであろうと重大な人権侵害を行った者が確実に裁きを受けるよう、手を緩めることなく活動を続ける。どんな権威主義的攻撃も私たちの正義を求める闘いを止めることはできないのだ。アムネスティがロシアの国内外で人権を擁護する取り組みを断念したり後退させたりすることは、決してない。
背景情報
2025年5月19日、ロシア連邦検察庁は抑圧的な2015年の法律に基づいてアムネスティを「好ましくない組織」だと断じた。この法律のもとで当局は、外国の組織を恣意的に禁じ、ロシアでの活動を犯罪とみなすことができる。検察庁はアムネスティが「ロシア嫌悪を扇動している」と非難、その根拠として、アムネスティのロシア内の表現と結社の自由に関する活動やウクライナでロシア軍が行っている国際法違反の犯罪を記録し明らかにしてきたことが挙げられた。この決定はそもそも国際法違反のロシアの法律に基づき行われ、決定文書の中身もアムネスティが組織の定款や方針に違反する活動を行っていると、事実と異なる内容が含まれていた。
3年前、当局はロシアでのアムネスティのウェブサイトへのアクセスを遮断し、モスクワ事務所の登録を抹消し、事実上閉鎖に追い込んだ。「好ましくない組織」の指定により現在アムネスティと協働している、あるいはアムネスティを支持・推進していると当局がみなしたロシアのパートナー組織、個人の支持者、ジャーナリストなどが起訴される危険がある。
ロシアの法律では「好ましくない組織」の活動への参加は法により罰せられる。初回の「違反」は上限15,000ルーブル(約25,700円)の行政罰金を科される。再犯やこうした組織に資金を提供したり運営にかかわったりすれば刑事責任を問われ、最高6年の実刑が科されるおそれがある。「好ましくない」と指定された組織の資料の配布や拡散にも適用されてきた。指定される以前のものやリンクの共有でも適用された。
反対意見を押し潰し、市民社会を解体し、国際的な監視の目や支援、連帯を阻止しようとするロシア当局の試みの中で、何十という独立NGO、メディア機関が標的となってきた。アムネスティもその一つだ。こうした動きは、権威主義的な手法で声を抑え込み、責任追及をかわし、権力を強固なものにするというロシア当局の措置の中核をなすものだ。
アムネスティ国際ニュース
2025年5月19日
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