- 2006年7月 7日
- 国・地域:日本
- トピック:死刑廃止
これが日本の死刑の実情である。他の地域と比べ高いアジアの処刑数を議論するため、アジア太平洋地域の死刑廃止活動家や専門家が香港で会合を持つ。それに合わせ、日本の死刑に関する報告書をアムネスティ・インターナショナルは発表した。
“日本は国家による殺人がいまだに行なわれている数少ない先進国のひとつである”とスキ・ナグラ(アムネスティの東アジア地域キャンペーン担当)は語った。“日本が死刑を廃止すれば、死刑全廃に向けた世界的な潮流の障害となっているこのアジア太平洋地域で指導力を発揮することができる。”
世界で125カ国が法律上または事実上死刑を廃止しており、最近ではアジアでフィリピンが6月に廃止を決めた。隣国の韓国でも死刑を廃止する法案が議会で検討されているという前向きな動きがある。
“死刑廃止への第一歩として、まず死刑をとりまく秘密主義に終止符を打つよう日本政府に要請する。死刑の現実を公表せず公的な議論もさせずに、このような非人間的刑罰を世論に支えられたものとして政府が正当化することはできない”とスキ・ナグラは述べた。
日本では死刑執行当日に拘置所前で抗議集会が行なわれることはない。執行を知っているのは当局だけだからだ。死刑囚当人には執行当日の朝に知らされる。場合によってはまったく知らされないこともある。
つまり死刑囚は-厳戒態勢で独居拘禁に置かれ-常に処刑の恐怖と共に生きるということになる。その日が最期の日となるか、全く分からない。
日本の司法手続の進行は遅く、確定まで長期間を要し死刑囚は処刑を何年も待つ。奥西勝さんは日本の高齢死刑囚の一人で、1961年に5人の女性を毒殺したとして死刑判決を受け、現在80歳になる。2005年4月、名古屋高裁は彼の無実を証明する新証拠があったとして再審開始を認めた。支援者は再審の早期開始を要請している:2006年3月に奥西さんは面会者に「生きている間に冤罪を晴らしてほしい」と語ったという。
日本では無実の人が処刑される危険が高い。裁判前の拘禁場所として、警察留置場(代用監獄)が使われるためである。容疑者は最長で23日間警察に拘禁されることが可能で、そのため長時間にわたる取調べを受けやすい。1958年に赤堀政夫さん(当時25歳)は強かんと殺人の容疑で死刑判決を受けた。赤堀さんは一貫して無実を訴え、自白は強要されたものだと主張した。「取調官は私の頭を殴り、首を手で絞めて窒息させ蹴った...拷問に耐えられず質問全部に同意することに決めた」と語っている。4度にわたる再審請求の末、1987年に再審が開始した。34年間の収容の後に釈放された時は59歳だった。
背景情報
報告書“今日が最期?日本の死刑”(現在邦訳中)は以下のサイトでご覧になれます:http://web.amnesty.org/library/index/engasa220062006
現在、死刑確定囚は87人。最後の処刑は2005年9月16日に2人を殺した北川晋さんの処刑。2000年以降、11人が処刑されている。
最高齢の死刑囚は85歳の石田富蔵さん。
死刑囚監房の処遇はきわめて過酷で他の囚人との交流も許されず、精神的に悪影響を及ぼす。執行はすべて絞首刑である。
アムネスティ国際ニュース
(2006年7月7日)
AI INDEX: ASA22/007/2006
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