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パキスタン:「テロとの戦い」における強制失踪

2006年10月25日
国・地域:パキスタン
トピック:「テロとの闘い」における人権侵害
米国主導の「テロとの戦い」への協力の下、パキスタン政府は、数百人ものパキスタン人や外国人に対し、組織的な人権侵害を行っている。強制失踪が広範に行なわれ、人びとは逮捕され、秘密の場所で独房に拘禁され、しかもその事実は当局によって否定されている。

彼らは、拷問や第三国への違法な移送などの危険と隣り合わせである。

アムネスティ・インターナショナルの調査担当上級部長、クラウディオ・コルドンは「グアンタナモへの道は、文字通りパキスタンから始まっている」と述べた。「何百人もの人が大量に逮捕され、多くはテロリストと決め付けられ、米国に売られている。そして、何百人もの人が、グアンタナモ湾やバグラム空軍基地、もしくは、米国が運営する秘密拘禁施設へと輸送されている。」

身元不明の「テロ」容疑者には、数千ドルもの懸賞金が掛けられるという慣行が、違法な拘禁や強制失踪を促進している。賞金稼ぎ(警察官や地元住民も含まれる)は、違う国籍の人を、時には明らかに無作為に捕まえ、米国の拘禁施設へ売りはらっている。グアンタナモ湾の被拘禁者のうち85%は、米軍によってではなく、アフガニスタンの北部同盟により逮捕されている。また、パキスタンでは、米国への「テロリスト」引渡しに対し払われる報酬が5千ドルにも及んだこともあった。逮捕によって利益を得ようとする者の根拠のない主張のみが、拘禁の唯一の理由となることがよくある。以前に「テロリスト」あるいは「殺人者」として、米国政府によりレッテルを貼られた300人ほどが、グアンタナモ湾の施設から、嫌疑不十分で釈放され、そのほとんどはパキスタンまたはアフガニスタンへ送られた。

アムネスティの南アジア担当調査員のアンジェリカ・パタクは「パキスタンでは、強制失踪などは米国主導の対「テロ」戦争以前はほとんど聞かれなかった。しかし今や、その現象は拡大しており、被害者は、「テロ」容疑者とされた人びとに限らず、バローチやシンディの民族主義者やジャーナリストにまで広がっている」と述べた。

 多くの被拘禁者は行方不明のままで、彼らの運命や所在は知られていない。2004年7月、3人の女性と5人の子どもが、パンジャーブ地方でタンザニア人の「テロ」容疑者アフメド・ハルファン・ガイラニとともに逮捕された。その中には、赤ん坊やタハと呼ばれていた13歳のサウジアラビアの少年も含まれていたという。2年以上が経ってもタハや子どもたちや女性の運命や所在はなにもわかっていない。アフメド・ガイラニは、2006年9月、CIAの秘密拘禁所からグアンタナモ湾へ送られた14人のうちの一人である。

 アンジェリカ・パタクは「パキスタンの対テロ戦争が遂行されるなかで、これらの子どもたちやその他多くの子どもたちが拘禁されている。大人は言うまでもないが、子どもに対しても無実の推定が及ばず、不法な拘禁に対して異議を述べることさえも許されない。そして、裁判も行われないまま長期間、拘禁されている」と述べた。

 パキスタンの政治家やメディアそして市民社会は、この行いを止めるべく、そして犠牲者全員の運命や所在を明らかにすべく、政府に対し毅然とした態度で、説明責任を果たすよう要求する必要がある。

 パキスタンの非政府組織である人権委員会は、虐待への新たな寛容さが生まれていると指摘し、これは、「テロへの戦いが一般人の精神に与える影響」に起因するものではないかと示唆している。

 秘密施設に捕らえられているテロ容疑者は、パキスタンにおいて拷問の危機に瀕している。彼らは逆さづりにされ、殴られ、食事や睡眠をとることができない。米国を含む他国の機関は秘密拘禁施設おいて人びとがこのような取調べを受けていることを知っている、またはその取調べに立ち会っていると思われる。

 アンジェリカ・パタクは「パキスタン政府は、被拘禁者の登録名簿を作成し、今後、誰も秘密裏に収監されたり、拷問や拘禁施設が絡むその他の虐待行為の危険にさらされないように、定期的に拘禁施設のリストを発行しなければならない。また、米国を含む外国政府は、自国の機関が関わっていると思われる拷問の申立等について調査しなければならない」と述べた。

 親族たちが誘拐された人びとの捜査願いを提出する場所はほとんどない。警察は申立について調査や、その申立の登録も拒否している。州の高等裁判所に拘禁のケースを訴えても、治安部隊がそれらの人々の所在について、全く明かそうとせず、裁判官も追求しないことが多い。

 パキスタン市民のハリド・メフムド・ラシッドは2005年11月6日、南アフリカでパキスタン当局に引き渡され、パキスタンへと移送された。それ以来彼の所在は不明である。彼はパキスタン政府により拘束されていると公式に認められたにもかかわらず、内務省は彼の所在を尋ねる家族の質問に回答していない。

 「テロとの戦い」の機密的な性質の下では、どれ程の人が、パキスタンで強制失踪その他の恣意的な拘禁や違法な処刑の被害者となっているのか不明である。しかし、パキスタン軍のスポークスマン、ショカト・スルタン少将は2006年6月、「2001年以降、約500人の「テロリスト」が殺害され、1,000人以上が逮捕された」と述べている。

背景情報:
「パキスタン:テロとの戦いで無視される人権」(英語版のみ)は:
http://web.amnesty.org/library/Index/ENGASA330362006

上記報告書のサマリー(英語版のみ)は:
http://web.amnesty.org/library/index/engasa330352006

容疑者逮捕に対して懸賞金を提供するという米国のチラシは:
http://www.amnesty.org/resources/pakistan/flyer.html

アムネスティによる「テロとの戦い」における拷問および虐待反対キャンペーンは:
http://www.amnesty.org/stoptorture/

2006年9月29日
AI Index: ASA 33/038/2006 (Public)

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