パキスタン:少数派キリスト教徒の保護を

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2023年8月31日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:パキスタン
トピック:

8月16日、パンジャブ州ジャランワラ市でキリスト教の教会5軒と信徒の自宅が放火や破壊などの襲撃を受けた。当局はキリスト教徒の身の安全を確保し、同教徒の要望を勘案した対応を取る必要がある。また、襲撃を主導した人物への法的措置も欠かせない。襲撃が続けば、宗教的少数派に対する差別と嫌悪の風潮が助長されるだけだ。

パキスタンではイスラム教を冒涜したと非難されれば自警団に狙われるおそれがある。特に宗教的少数派は標的になりやすい。今回の暴徒による襲撃・放火は、その現れだ。

背景には、イスラム教やその預言者への冒涜、コーランの冒涜・破損などに刑罰を科す「冒涜法」の存在がある。同法は、対象が広範で文言があいまいで抑圧的でもあるため、思想・良心・宗教・表現の自由の権利を侵害するものだ。この法律が誤って解釈されることで、社会の中で特に弱い立場にある人びとらが標的になっており、イスラム教を非難したとみなされた人やその関係者、近隣住民らが被害を受ける事態が続いている。

当局は、これまでの襲撃で冒涜法がいかに危険かを十分学んだはずだが、冒涜法の廃止を求める声を無視し続けた上、冒涜法違反の罰則を強化し、人権侵害を容認する社会を作ってしまった。

同国は、重大な問題を引き起こす冒涜法を直ちに廃止すべきだ。廃止までは、同法の乱用を防止する効果的な対策を取る必要がある。

背景情報

ジャランワラでの事件では、キリスト教徒2人にコーランを冒涜されたと、自警団が暴徒化して次々と教会を襲撃した。

その前週の8月7日には、中西部バローチスタン州トゥルバットで冒涜の疑いをかけられた教師が射殺された。

今年2月にも、北東部パンジャブ州ナンカーナでコーランを粗末に扱ったとされた男性が、自警団に警察署から引きずり出され、殴り殺された。

2021年12月、冒涜の批判を受けたスリランカ人男性がリンチを受けて亡くなっている。

アムネスティは以前、冒涜法による人権侵害の実態を調査し報告書にまとめている。

アムネスティ国際ニュース
2023年8月16日

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