アフガニスタン:国連安保理派遣団は国際的人権擁護を長期的に保障すべき

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2006年11月26日
国・地域:アフガニスタン
トピック:「テロとの闘い」における人権侵害
11月11日から16日にかけて、国連安全保障理事会の派遣団がアフガニスタンを訪問することをアムネスティ・インターナショナルは歓迎する。同国の治安確保と再建を成し遂げるという国際的責務は長期的取り組みとすべきであり、人権諸基準を暴動対策や再建に向けた努力の指針とするようアムネスティは派遣団に要請する。

国連が直接管轄する組織や同国の法治維持を任務とする治安部隊の双方において、人権諸基準を国連の同国駐在に関する戦略指針とすることが必須であるとアムネスティは考える。安保理の委任を受けて活動する軍隊が人権諸基準を遵守し、その任務に関して透明性を確保し、説明責任を果たすよう安保理は保証しなくてはならない。

安保理は派遣団から得た情報を公開し、専門家その他関係団体にも提供するなど、情報を充分に吟味することをアムネスティは要請する。

また、アフガニスタン国民や国際社会が直面する多数の課題を安保理が十全に把握することにより、法の統治を再建する一層の努力を安保理が傾けるよう要請する。

同国内で紛争に関わる全勢力が国際人道法に違反していることなどに関し、十分な人権監視や報告を国連アフガニスタン支援ミッション(UNAMA)に委任することを通じて、公正に関する原則を安保理は強化すべきであるとアムネスティは確信する。UNAMAおよび安保理委任の国際治安支援部隊(ISAF)による詳細な情報提供を頻繁かつ定期的に受けることが、法の統治を再建し、人権基準を実施するための努力を協調させるために必須である。

さらに、アフガニスタンの人権に関わる組織や人びとにも、安保理各国に対し情報提供を行なうよう要請すべきであるとアムネスティは考える。

アフガニスタンで法治が実効的に維持されていないことが、武装勢力によるものを始めとする人権侵害が免責されたまま継続する事態を招いている。

国家治安局や地方政府といった法治の維持に責任を負う組織が、司法に裁かれることなく人権侵害を行なっているとされていることを、アムネスティは懸念する。

アフガニスタンの法律上、責任を問われるべきそうした組織の失態は、アフガニスタンも締約国となっている人権諸基準に真っ向から反するものであり、数々の安保理決議においてISAFの任務とされた諸目的にも反している。これは、アフガニスタンの国家と個人の安全を損ねている。

劣悪な治安の風潮や、国情の不安定さに対する懸念から、人権活動家が次第に発言を控えるような状況になっている。また、彼らは殺害の脅迫を受けてもおり、カンダハールの女性問題省大臣でもあった人権活動家、サフィエ・アマジャンのように、殺害されるのではないかと恐怖を感じている者も多い。

暫定司法行動計画の実施が遅れ、不十分であるために、過去の人権侵害の裁きを求めるアフガニスタンの人びとの要求は満たされないままだ。その一方で、安保理委任のアフガン駐屯部隊も含めた外国部隊による治安活動も民間人の死傷が蔓延しているという報告に終わっている。こうした部隊が救済手段を提供すると主張しても、そのための矯正や補償などの公的仕組みは作り上げられておらず、これはアフガニスタンが約束する人権保障に反している。

アフガニスタンで治安と人権を完全に確立するために、国際社会が手段を講じないかぎり、同国および同国民の将来は不安定なままだ。今や安保理はこれまで以上にこの問題に取り組む必要がある。

AI Index: ASA 11/018/2006
2006年11月10日
 

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