アフガニスタン:増え続ける民間人死者-当事者は民間人を保護すべき

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2007年6月22日
国・地域:アフガニスタン
トピック:地域紛争
アムネスティ・インターナショナルは、アフガニスタンで続いている武力衝突により、アフガニスタンの民間人の死傷者数が増加し続けていることを憂慮する。最近のタリバン武装勢力に対するアメリカ、北大西洋条約機構、アフガン軍による空爆や地上戦により、数多くの民間人が死亡した。民間人はタリバン武装勢力による無差別自爆攻撃や、路上爆弾のような簡易爆破装置(IED)を用いた攻撃により死亡している。アムネスティは、人間を盾として攻撃を防いでいるという報告にも懸念する。双方の攻撃で女性や子どもの死者がでている。

アムネスティは、紛争に関わる全ての当事者が、国際人道法(戦時国際法)の原則に違反して、民間人を守るために必要な処置を取ることを怠った結果、民間人が殺害され続けていることを懸念する。不均衡で無差別な攻撃を含む、残酷極まる違法行為の報告にも憂慮する。南部のもっとも影響を受けた地域では、多くのアフガン人を援助する医療や援助物資の配給が必要であるが、紛争により人道支援組織への交通手段が減少している。南部では10万人以上が紛争から逃れ、故郷から逃げているという。

アムネスティは、タリバン武装勢力の国際人道法違反行為で紛争とは関係ないアフガン人や外国人の命が奪われているという最近の報告を懸念する。2007年6月17日、カブール中央部に位置する訓練学校に新人警官を輸送している所を狙った自爆攻撃により、22人の警官を含む24人が死亡したという。カブールの繁華街で起きたため、5人の外国人を含む、52人の民間人が負傷した。

他にも:6月16日、カブール西部で起きた武装した民間人護衛を狙ったと思われるタクシーの自爆攻撃により、その場にいた4人が死亡した。

6月16日夕刻、米軍が爆発のあった場所に集まった人びとに向け発砲したため、トラック運転手が死亡、民間人一人が負傷した。米軍報道官は「兵士による誤射」と説明したという。しかし、米軍の民衆への発砲事件は、今回が初めてではない。3月4日、ナンガハル州、ジャララバード高速道路上で自爆テロによる米軍への攻撃後、民間人の車や歩行者に向け米軍は発砲したという。16人が死亡し、少なくとも24人が負傷した。

6月15日、アフガニスタン南部、ウルズガン州ティリンコットで、明らかにNATO のオランダ軍車列を狙った車による自爆攻撃により、5人の子どもを含む9人の民間人が死亡したという。この攻撃により他にも7人の民間人が負傷した。

報道によると、タリバン報道官は3件すべての自爆攻撃への関与を認めている。タリバンはこれまでも一連の自爆攻撃を計画していると述べていた。

アフガニスタンでの自爆テロは、2005年では17件、2006年では123件と、過去2年で6倍に増加している。2006年の自爆テロによる死者は237人にのぼると国連が報告したが、簡易爆破装置(IED)による死者はさらに519人とNATOは報告している。2007年4月にアムネスティが発表した報告書では、タリバンや他の武装勢力は、民間人を襲ったり、人質をとったり、首をはねるなどの国際人道法の基準に違反し、人道を無視し続けていると報告している。

また、外国軍による軍事行動による民間人の死傷者や負傷者の報告を懸念する。6月21日の夜、NATO-ISAF軍(北大西洋条約機構 - 国連治安支援部隊)の空爆で、ヘルマンド州ゲルセーク付近のデアダムハーン村で25人の民間人が死亡したという。州警察署長によると、これらの死者の中には9人の女性と、生後6カ月から10カ月の3人の乳児がいたという。さらに署長は、NATO-ISAF軍は地上のアフガン軍との協議なしに攻撃を開始したと主張している。ISAFの南部地方司令部報道官は、攻撃は村の反乱軍兵士により「開始」され、「民間人への危険性はおそらく計画的」と語った。

他の事件は:6月17日、米軍が指揮する空爆により、アフガニスタン南東部、パクティカ州にある宗教学校が攻撃を受け、少なくとも7人の子どもが死亡した。事件はアルカイダ兵士の隠れ家に使用されていると考えられていた複数のモスクやイスラム神学校を狙った作戦中に起こった。連合軍報道官は、反乱軍兵士は罪のない民間人を盾に使っていたと述べたという。

6月1日、地元警察によると、NATO軍による空爆により、ヘルマンド州サンギン地区で、少なくとも14人の民間人が死亡したというが、地元住民は死亡者数はもっと多いと主張している。5月21日から22日にかけて行われたアフガン軍とNATOによる地上攻撃や空爆により、カンダハール州パンジワイ地区アジジ村で、16人の民間人が死亡したとされている。これらの死亡者には女性、子ども、高齢者がいた。15人の民間人が負傷したという。

米軍の地上戦、空爆で、多数のタリバン兵を掃討した4月27日から29日にわたる3日間の軍事作戦により、西部のヘラート州シンダンドで、57人の民間人が死亡したという。アフガン独立人権委員会はこの事件を調査し、これらの死亡者のうち半数は、女性と子どもだったと報告した。国際赤十字は家屋173軒が破壊され、2000人近くが家を失ったと報告した。

政府報告では、武装勢力との衝突により、2006年に700人の民間人が死亡したという。国連は民間人380人が2007年初頭から4月までに死亡したと報告している。6月12日、道路沿いの爆破、自爆攻撃や空爆の増加で安全が脅かされ民間人が非常に苦しんでいると赤十字の国際委員会は述べた。

アムネスティは、民間人の命を守るために紛争に関わるすべての当事者に最大限の配慮を要求し、虐待を受けたから虐待してよいと正当化してはならないと繰り返し訴える。どちらの立場であっても、民間人が違法行為の犠牲となるべきではないことを強調する。民間人を狙った攻撃、無差別攻撃、他の違法による民間人殺害などの、すべての国際的人権法・人道法の違反行為は、敏速かつ徹底的に独立した調査が行われ、これらの行為に責任を有する者は、国際基準に沿って、死刑を適用しない裁判手続きにより裁きを受けるべきである。

緊急に、紛争に関わるすべての当事者は民間人を区別する原則と国際人道法の基準を遵守するよう求める。すべての軍は民間人を狙ったり無差別に攻撃しないよう保障すべきである。

詳細は以下を参照:Afghanistan: All who are not friends, are enemies: Taleban abuses against civilians (AI Index: ASA 11/001/2007)(英文のみ)http://web.amnesty.org/library/Index/ENGASA110012007?open&of=ENG-AFG

Afghanistan: Taleban attacks against civilians increasing and systematic (AI Index: ASA 11/002/2007)英文 http://web.amnesty.org/library/Index/ENGASA110022007?open&of=ENG-AFG邦訳 https://www.amnesty.or.jp/modules/news/article.php?storyid=285

Afghanistan: NATO must ensure justice for victims of civilian deaths and torture (AI Index: ASA 11/021/2006)(英文のみ)http://web.amnesty.org/library/Index/ENGASA110212006?open&of=ENG-AFG

Afghanistan: NATO member states must uphold human rights standards through the establishment of body to investigate alleged violations of Afghanistan's human rights laws, empowered to provide restitution(英文のみ)http://web.amnesty.org/library/Index/ENGASA110202006?open&of=ENG-AFG

AI Index:ASA 11/006/2007
2007年6月22日


 

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