- 2008年5月 7日
- 国・地域:ミャンマー(ビルマ)
- トピック:
「軍事政権の形式主義的なビザ発行手続によって、人命の犠牲が増大している。一方で軍隊に流用されることをおそれ物資の支援を渋っている援助提供者もいる」と、アムネスティ・インターナショナルのビルマ調査員ベンジャミン・ザワッキは述べた。「軍政はいますぐ国際緊急支援活動関係者のビルマへの入国を許可し、その活動を保証すべきである」。
アムネスティは、ビルマ軍政に対し、入国ビザの規制と税関手続を緩和するよう要請している。これらの手続のため過去数日にわたり国際緊急支援活動関係者の入国が阻まれ、どうしても必要な援助物資の配達を遅らせている。国際援助物資の一部はすでにヤンゴン(ラングーン)に届いているが、ビルマ軍政はもっとも深刻な被害を受けた人びとへ援助物資を届けるための膨大な手配作業を行う人員を動員できていない。
アムネスティはこの点で、ビルマ南部の状況はなによりも人道上および復旧における危機であると認識する。今回のような規模の自然災害、例えば2004年のインド洋津波の後の経験により、人権を守ることが効果的な緊急支援や持続的な復旧に欠かせないことが証明されている。
そのためアムネスティは、ビルマ軍政に対し、国際緊急支援活動に十分協力し、援助物資の配分を明確で透明性のあるものにするよう求める。ビルマ政府は援助物資を必要に応じて配分し、人種、肌の色、性別、言語、宗教、政治的その他の意見、国籍または社会的出自、財産、出生または受益者の地位によって差別してはならない。災害後の状況においては、女性たちは特に性的暴力にさらされやすく、十分な援助物資を受け取れないことが多い。
ビルマ軍政は、100万人近くにのぼるといわれる今回のサイクロンの避難民が迅速に必要不可欠な避難場所、食糧、水及び医療などを含む十分な復旧支援を受けられるよう保証しなければならない。政府が強制的に市民を移住させたという記録を入手し、アムネスティは、動揺していて当然の避難民に対し、過剰な武力を行使しないようビルマ軍政に求める。
ビルマ軍政の腐敗の歴史と不正な行いが緊急援助の努力を悪用するのではないかという懸念を生じさせている。政府に反対する人びとを締め付け、弱体化させるための隠れ蓑として強制的な移住を利用するのではないかというおそれである。
避難キャンプや災害地域にいる国内避難民のどのような移住も、被災者の安全と健康のため避難が必要となる場合を除いては、自主的なものでなければならない。被災者への援助を保留にするなどの方法を含め、いかなる方法によっても強制が行われてはならない。国内避難民が自主的に元の家や土地に安全に尊厳を維持しつつ戻る権利は、尊重されなければならない。また、当局は元の場所に戻る場合でも国内の他の場所に移住する場合でも、被災者を援助しなければならない。
「危機と緊急事態の中で、人権が最も脅かされている」とベンジャミン・ザワッキは語った。「救援と再建の過程において、人道支援活動や人権侵害監視活動をしている人びとをはじめとする人権擁護活動家が担う中心的役割をビルマ軍政やその他の組織が認識し、支援することが非常に重要だ」。
アムネスティ発表国際ニュース
2008年5月7日
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