- 2008年6月 6日
- [日本支部声明]
- 国・地域:日本
- トピック:先住民族/少数民族
日本政府は、アイヌ民族について長年にわたり、「少数民族であり」「先住している」と認めつつも、国際基準にもとづく「先住民族」とは認めてこなかった。
1998年の自由権規約委員会による日本の第4回政府報告書審査でも、日本政府は、「アイヌの人びとが先住民族であるかどうかは今後も慎重な検討が必要」とし、従来の立場を繰り返した。それに対し、自由権規約委員会の各委員はアイヌ民族を先住民族であると認め、最終見解においても「アイヌの人びとの土地権への否認と同様に、言語と高等教育に関するこれらの人びとへの差別を懸念する」と、日本政府の態度を批判した。
2007年9月、国連総会は先住民族の権利に関する宣言を採択し、日本政府も賛成票を投じた。この宣言は、先住民族は、他のあらゆる人びとと同じように、自己決定権を持つと断言している。そしてこの自己決定権に基づき、先住民族の生活様式にとり極めて重要な、土地、地域、天然資源、文化、言語に対する彼らの権利を認め、また、これらの諸権利に関して各国に実効的な施策を取るよう求めている。
本日、アイヌ民族を先住民族であると認めたことにより、日本政府はこれまでのような先住民族としての権利を否定する態度を改め、国際人権基準に基づき、先住民族に対する差別的施策の撤廃や、今後の差別を禁止する法制度の整備を行う責任を日本社会ならびに国際社会に対して公約したことになる。
アムネスティ・インターナショナル日本は、日本政府が今回の談話をもとに、先住民族の権利保障に向けた具体的な措置をとるよう期待するものである。特に、今後の協議プロセスにおいては、アイヌ民族の代表者の参加を保障しつつ、先住民族の権利に関する国連宣言に基づいた取り組みを行うよう要請する。
また、アムネスティ日本は、先住民族の権利確保に向けて、日本政府が速やかに国際的な人権条約の個人通報制度に加入すること、ならびに国際基準に基づく独立した国内人権機関を設置するよう、強く求めるものである。
アムネスティ・インターナショナル日本声明
2008年6月6日
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