カメルーン:プリズン・ブレイク―過剰な武力行使を非難し独立調査を要求

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2008年7月 3日
国・地域:カメルーン
トピック:危機にある個人
アムネスティ・インターナショナルは、カメルーンのドゥアラにあるニュー・ベル刑務所で2008年6月29日と30日、刑務官により少なくとも17人の囚人が殺害されたことついて懸念を表明する。

アムネスティ・インターナショナルは、ニュー・ベル刑務所から脱走を試みる囚人に対し、治安部隊が射殺することを認める方針が採用されていることを憂慮する。このような方針は、囚人の生きる権利を侵害している。アムネスティは、カメルーン当局が法と秩序を維持し、囚人が合法的な拘禁状態から逃亡しないよう保証する義務を有していることを認める。しかし、治安部隊による武力行使は、必要かつ相当な範囲内でなければならない。

カメルーンの治安部隊はこれまでも過剰かつ不当な武力を行使してきた。2008年2月下旬に治安部隊は100人もの民間人を殺害したが、その中にはカメルーンの首都ヤウンデを含む多くの主要都市で起きた暴動に関与した者もいた。人びとは生活費の高騰や低賃金、また政府が憲法を改正し、2011年大統領選挙にポール・ビヤ大統領の立候補を禁じる条項を削除しようとすることに対して抗議していた。アムネスティ・インターナショナルが確認した写真では、至近距離から頭を射たれたらしい被害者や、その後に逮捕されたらしい者などがいた。ドゥアラでは、数人が、火の中でウーリ川に飛び込むよう強制され後に溺死したと伝えられている。重症を負った多くの民間人が公的な医療を受けられず、銃撃による負傷でその後死亡した者もいる。

2007年6月、アダマワ州ヨコ刑務所の少なくとも17人の囚人が、ニュー・ベル刑務所で起きた事件と類似の状況で銃殺された。政府が不法な殺害に責任のある治安部隊員を裁く措置を取ったり、あるいは殺害された被害者遺族に賠償したかについては不明である。

カメルーンの人権活動家たちによると、何人かの囚人が脱走を計画していたことで、ここ数週間、刑務所内の緊張が高まっていたという。刑務所当局はこのような計画を察知していたと伝えられているが、囚人たちの集団脱走を防止する措置を怠っていた。6月29日の午後、数十人の囚人が刑務所からの脱走を強引に実行した。15人の囚人が、追跡してきた刑務官と治安部隊によって銃殺されたと伝えられた。また、6月30日にも他の2人が殺害された。6月30日の事件では、ニュー・ベル刑務所付近に暮らす23歳の男性、レネ・ミレイユ・ボヤムが、治安部隊が彼の家に隠れている囚人を発見した際に撃たれ、致命傷を負った。レネ・ミレイユ・ボヤムと囚人は地面に押さえつけられたところを銃で撃たれ、囚人は即死したと伝えられている。レネ・ミレイユ・ボヤムは翌日、病院で亡くなった。少なくとも2人の囚人が銃で撃たれて重傷を負い、現在入院中であることが分かっている。

刑務所の行政を担当する司法大臣は、2008年7月1日に刑務所を訪問した際、脱走しようとした囚人に対する刑務所の措置に対し、同刑務所に感謝の意を示したと報じられている。これは遺憾なことであり、アムネスティ・インターナショナルは司法大臣に対し、脱獄と射殺についての調査を命じるよう要請する。

アムネスティ・インターナショナルはカメルーン政府に対し、囚人の脱獄に関する状況とその後に起きた殺害に関して、独立した中立的なしっかりした調査を直ちに実施するよう要請する。調査によって判明した不法な殺害や傷害行為を命令、容認または実行した政府関係者は、裁きを受けなければならない。さらにこの調査によって、殺害や人権侵害につながるおそれのあるこのような囚人の脱走をいかに防止すべきかについて、当局に対し勧告が出されるべきである。政府は、2008年2月と6月の銃撃による負傷者が適切な治療を受け、また政府機関による不法な殺害ないし傷害行為によるすべての被害者が賠償を受けられるよう、保証すべきである。

背 景:
カメルーンの刑務所やその他の拘禁施設は、常に過密状態で非衛生的である。ニュー・ベル刑務所は、700人の受刑者を収容するために1930年代に設立されたが、およそ4000人が収容されている。刑務所ではトイレが不足し、非衛生な環境により多くの囚人が病気になっている。政府は通常、囚人に医療サービスを提供せず、何十人もの囚人が毎年死亡している。囚人はしばしば家族に食事や医療を頼っているが、多くの家族は食事を差し入れたり医療を提供するだけの資金がなく、さらに、またはもしくは遠くに住んでいるために定期的に訪問することができない。このような状況は、裁判なしに長期間拘禁されている者の割合が高いことと相まって、暴動や脱獄の原因となることが多い。低賃金に加え訓練も装備も不十分な刑務官や治安部隊は、しばしば、刑務所内の暴力や路上でのデモを鎮圧する手っ取り早い手段として武力を行使している。

AI Index: AFR 17/004/2008
2008年7月3日
 

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