- 2009年2月 2日
- 国・地域:ミャンマー(ビルマ)
- トピック:先住民族/少数民族
ビルマ西部のラカイン州に暮らすイスラム少数民族であるロヒンギャは、ビルマにおいて何年も迫害を受けてきた。ここ数カ月のうちに数千人のロヒンギャが、タイやマレーシアに向けボートで逃れている。
しかしタイ軍は、ボートでタイ南東部にたどり着いたおよそ1000人のロヒンギャを追放した。一方で、インドとインドネシア当局は、数百人のロヒンギャを救助した。タイ治安部隊が、食料や水がほとんどまたは全くないまま、航海に適さないボートにロヒンギャを乗せて漂流させたため、数百人が行方不明または犠牲となった。
「ロヒンギャの状況は、この2カ月で危機的な段階に達した。タイ政府はロヒンギャの追放をやめるべきである。ただちに人道的援助を提供し、さらなる追放を進める計画を中止しなければならない」と、アムネスティ・インターナショナルのアジア太平洋部長サム・ザリフィは述べた。
インドネシアは、1月7日にアチェ州ウェ島に上陸したロヒンギャとバングラデシュ人およそ200人の処遇をいまだ検討中であると29日に発表した。インド軍は、アンダマン諸島とその近辺で数百人のロヒンギャを救助した。
アムネスティはロヒンギャの窮状を踏まえ、ビルマに対してロヒンギャへの組織的な迫害をやめるよう要請している。またビルマの周辺国に対して、国連の難民機関(UNHCR)が領域内のロヒンギャへ迅速にアクセスできるようにすること、難民の地位に関する条約およびその1967年の議定書、無国籍者の地位に関する条約を批准することを求めている。
「バングラデシュ、マレーシア、インドネシア、インド、ビルマ、タイ各国政府は、国籍、地位、境遇に関係なく海上で窮地に置かれているロヒンギャに援助を提供し、捜索や救助活動を行う義務を果たさなければならない」
「私たちは、タイのアピシット・ウェチャチワ首相が、ロヒンギャに関する近隣地域の討議の場を持つと表明したことを歓迎する。ロヒンギャの窮状の永続的な解決は、バングラデシュ、インド、インドネシア、マレーシア、ビルマを含む地域の率先した取り組みと、UNHCRの参加があってはじめて見出すことができる」と、サム・ザリフィは語った。
「地域的な解決策がどのようなものであっても、ビルマで迫害を受けるおそれが十分にあるロヒンギャが、ビルマに送還されないことを保証しなければならない」
過去30年間、数十万のロヒンギャが、組織的な迫害からアジアの周辺国に逃れ、その大多数はバングラデシュに至った。ビルマ国内では、ロヒンギャは特に厳しい差別的政策の対象とされ、苦しめられている。ロヒンギャは市民権を否定されており、従って事実上無国籍である。
ビルマに送還されたロヒンギャは、依然として強制労働、強制移住、土地の没収、厳しい移動規制といった深刻な人権侵害の危険にさらされている。
アムネスティ発表国際ニュース
2009年2月2日
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