- 2009年12月24日
- 国・地域:ロシア連邦
- トピック:
メモリアルの人権擁護のための勇気ある活動が認められ、同団体を代表して、オレグ・オルロフ、セルゲイ・コワリョフとともに、モスクワ・ヘルシンキ連盟のリュドミラ・アレクセエワが、サハロフ賞を受賞した。メモリアルの中心的メンバーのひとりであったナタリア・エステミロワは、2009年7月15日、チェチェン共和国内で殺害されている。
「私たちロシア連邦内外の人権団体のメンバーは、5カ月前、友人であり仲間でもあったナタリア・エステミロワを失った。彼女はメモリアルの先頭に立つロシア連邦チェチェン共和国担当の調査員であった」と、欧州・中央アジアプログラムの部長であるハリヤ・ゴワンは述べた。「私たちは、メモリアルがその人権活動を認められたことを喜ばしく思う。しかし、ナタリアが生きてその栄誉を手にすることができなかったことは、悲痛の極みである」
ナタリア・エステミロワ殺害の後、チェチェン共和国におけるメモリアルの活動は停止された。このときより現在に至るまでチェチェン共和国当局は、人権活動家と、人権侵害に対し法の正義を求める人びとに対して脅迫、迫害を続けている。何人かは死の脅迫を受け、国を去ることを余儀なくされた。メモリアルの活動停止により、チェチェン共和国内の人権侵害の被害者たちが助けを求める場所が失われてしまったのである。
「メモリアル閉鎖によっておきた空白は、深刻かつ痛みを伴うものである」と、ハリヤ・ゴワンは述べた。
12月、80以上のロシア人権団体が、メモリアルにチェチェン共和国での活動再開を促す書簡を送った。これらの団体はみな、どんな方法を使ってでも可能な限りメモリアルを支援すると誓った。いくつかの団体は協力し合ってチェチェンでの監視団を結成し、最近ではチェチェン共和国内で活動を開始しはじめている。
自らのノーベル賞受賞記念講演で、アンドレイ・サハロフはこう述べていた。
「今日から私たちは、全ての1人ひとりのためにそれぞれの不正義や人権侵害と闘わなければならない。私たちの未来は、それができるかどうかにかかっている」
アムネスティ・インターナショナル、シビルライツ・ディフェンダーズ、国際人権連盟、ヒューマンライツ・ウォッチは、チェチェン共和国の人権状況を監視し、報告することが団体共通の責任であると考えている。チェチェンの状況を監視するために、これらの国際的なNGO団体は、ロシアやその他の国際人権団体に協力を求めている。
「私たちは、チェチェンでの人権侵害に終止符を打ち加害者の責任を問うために、これからも活動を続けていく。チェチェン共和国の人びとが司法にアクセスすることのできない現状を、このまま放置してはならない」と、ハリヤ・ゴワンは述べた。
アムネスティ発表国際ニュース
2009年12月16日
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