- 2011年2月28日
- [日本支部声明]
- 国・地域:日本
- トピック:難民と移民
公開書簡
法務大臣 江田五月殿
2011年2月25日以降、法務省入国管理局の東京入国管理局並びに東日本入国管理センターで一部の被収容者による官給食の拒否が行われているという報告を受け、アムネスティ・インターナショナル日本は、収容に際し、独立した機関による収容の妥当性の審査が行われないまま、難民認定申請者も含む正規の滞在資格を持たない人びとが、法務省入国管理局収容施設に収容されていることに懸念を表明します。
被収容者の官給食の拒否は、繰り返される収容への不満があらわれたものとみることができます。
出入国管理を目的とする収容、すなわち移動の自由の制約は、逃亡を防ぐ、身元を確認する、退去強制令の遵守を確保する上で必要性があり、かつ、罪刑均衡の原則(ある犯罪とその犯罪に対する刑罰が均衡すること)から見て妥当と思われる場合を除いて実施されるべきではありません。しかしながら、法務省入国管理局収容施設の被収容者の中には、独立した機関による収容の妥当性の審査がないまま、無期限・長期収容を余儀なくされている人々も少なくありません。2010年7月、法務省入国管理局は、退去強制令書が発付されてから相当の期間収容が継続している被収容者について、一定期間ごとにその仮放免の必要性、相当性を検証・検討し、個々の事情に応じて仮放免を弾力的に活用すると発表しました。しかし、その検証がどのような基準に基づいているのかは明らかにされておらず、独立した外部機関による検証とはなっておりません。
2010年3月、日本において調査を行った移住者の人権に関する国連の特別報告者ホルヘ・ブスタマンテ氏も、非正規滞在の移住者に対する収容は、必要な場合のみに制限し、病気を患う者、未成年者の保護者などの収容は避けることができるよう、明確な基準を示すべきであると言明しています。
法務省入国管理局における官給食の拒否は今回がはじめてではありません。2010年には、全国の入国管理局収容施設において複数回行われており、2件の自殺や多数の自傷行為も報告されています。国境の狭間に立たされて精神的に追い詰められた被収容者が、極端な手段に訴えざるをえない状況にあることを、法務省入国管理局は重く受け止めるべきです。
こうした状況に鑑み、アムネスティは、収容のあり方を抜本的に見直すよう、強く法務省に要請するものです。また、緊急に取り組むべき対策として、出入国管理に基づく正規の滞在資格を持たない人びとの収容は、収容を行う前に、その妥当性と代替となる非拘束的措置を検討するよう要請いたします。
複写送付先:
法務省人権擁護局長
法務省入国管理局長
入国者収容所東日本入国管理センター所長
入国者収容所西日本入国管理センター所長
入国者収容所大村入国管理センター所長
2011年2月28日
社団法人アムネスティ・インターナショナル日本
理事長 藤田真利子
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