インド:ヴェダンタ社のオリッサ州における事業を許可してはならない

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2011年8月 8日
国・地域:インド
トピック:企業の社会的責任
英国に本拠を持つ鉱山会社のヴェダンタ・リソーシズ社が、オリッサ州におけるボーキサイト採掘およびアルミナ精錬所拡張計画を阻止しようとするインド政府の試みを覆そうとしている。この同社の試みを、成功させてはならない。アムネスティ・インターナショナルは新たに発表したレポートの中で、このように述べた。
最新のレポートでは、オリッサ州における投資額17億米ドルの事業計画が住民にもたらす影響を、同社が十分に検討しなかったことが明らかにされている。

「ヴェダンタ社の採掘および精錬所拡張計画の推進を、許してはなりません。同社は、地元住民と環境への影響を検討したと主張して、当該計画を差し止める旨のインド政府環境省の決定を覆そうと試みています。しかし実際のところ、ヴェダンタ社の環境影響評価は、全体的に不十分です」とアムネスティの太平洋支部副代表であるマドゥ・マルホトラは述べた。

7月19日、オリッサ州高等裁判所は、ヴェダンタ社のプロジェクトがインドの環境法に違反しているとの見解を示した。そして、「ランジガル精錬所を6倍に拡大する」というヴェダンタ社の計画を却下した、2010年8月のインド政府の決定を支持した。
しかしながら、採掘プロジェクトの共同事業パートナーであるオリッサ鉱山社は、ニヤムギリ丘陵での採掘計画を不許可としたインド政府の決定に関し、インド最高裁判所で争っている。

同様に、ヴェダンタ社の子会社であり、当該プロジェクトを運営するスターライト・インダストリーズ社も、環境省の不認可に対し、インド政府国家環境審判所で争っている。

ここ数年の間、9000人強の先住民族であるドングリア・コンドは、採掘計画に対し反対活動を行ってきた。

「ヴェダンタ社の訴訟活動の猛攻が、この事業の真実を覆い隠すことがあってはなりません。インド政府は、『ヴェダンタ社が環境規制を遵守している』と考えてしまうような、騙しにひっかかってはいけません。現実はまったく異なるのですから」とマドゥ・マルホトラは述べた。

「現地の住民たちには、これまで、ヴェダンタ社の計画がおよぼす潜在的な影響について、不十分で、誤解を招く恐れのある情報が提供され続けてきました。今日彼らは、自分たちのコミュニティの真ん中に建てられた、巨大な精錬所とともに生活をしています。空気は粉塵で汚染され、ボーキサイト原料を満載した大型運搬車が道路を疾走しています。精錬所とその有害廃棄物の池は地元の川のすぐ隣にあるので、現在住民たちは、彼らの生活に欠かすことのできない水源の安全性について疑問を感じています」

本報告書は、ニヤムギリ丘陵におけるボーキサイト採掘、およびランジガルにおけるアルミナ精錬所の拡張計画に対する許可を得るためにヴェダンタ社が実施した、環境影響調査(EIAs)の綿密な分析に基づいている。本報告書においてアムネスティは、「同社の環境影響調査は根本的に不十分であり、インド政府の規制基準を満たしていない」と結論付けている。

ヴェダンタ社の環境影響調査が不十分である分野には、村落を通って数トンのボーキサイトを輸送する運搬車の影響を考慮していない点、粉塵や臭気が汚染物質となる可能性について認識していない点、現地に住む先住民のドングリア・コンドにとってニヤムギリ丘陵の持つ文化的な重要性を評価していない点、現地住民の主要な水源であるヴァムサダラ川の隣にあり、すでに川に漏れていると伝えられている「赤泥」廃棄物の池の設計基準を公開していない点などが含まれている。

本報告書はまた、同社の環境影響調査を通じてインド環境省が課す規制は、対象範囲が限定的であり、土地利用、住民の移転および地域の再生など、インドにおける企業活動に関わる多くの社会的・経済的な諸問題に対処できていないということも、明らかにしている。

「インドは、企業が自社の行動の責任を取らせるために、効果的な法律を制定する必要があります。そうすることにより、積極的な訴訟活動の中でヴェダンタ社が行っている情報歪曲活動を抑制することができるようになるのです」とマドゥ・マルホトラは述べた。


アムネスティ発表国際ニュース
2011年7月24日

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