- 2024年2月 5日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:インド
- トピック:
インドの金融都市ムンバイでヒンズー教集会の参加者が扇動する暴力事件が発生し、翌々日にはイスラム教徒が所有する建物が当局によって取り壊された。
異なる共同体間で暴力事件が発生し、当局がイスラム教徒の家屋を懲罰として破壊するという事実上の差別的政策を実施していることは、憂慮すべきだ。事前通告や正当な手続きもなく行われるこの種の違法行為は、法の支配を大きく揺るがす。
当局は、イスラム教徒への対処という口実での家屋破壊を直ちに停止し、国際人権基準が定める、強制立ち退きに対する保護措置を取るべきだ。
インドが加盟する経済的、社会的および文化的権利に関する国際規約は、強制立ち退きを禁止している。国は、強制立ち退きの被害者全員に十分な補償と救済を提供し、また加害者の責任を問わなければならない。
同時に、暴力や破壊行為を扇動した人物を公正で速やかな裁判にかけることも求められている。国には、少数派の人びとを含むすべての人を保護する義務がある。
背景情報
1月21日、マハラシュトラ州ムンバイで、ヒンズー教徒の一団が、サフラン色の旗を持ち、「ジャイ・シュリ・ラーム(ラーマ神に栄光あれ)」と唱えて行進していたとき、イスラム教徒に停止を要求された。その後両者の口論になり、やがて暴力事件に発展した。
1月23日、イスラム教徒が多数を占めるハイダリー・チャウク地区で、露天商など15店舗が州当局に取り壊された。
1992年、ウッタルプラデシュ州アヨーディヤにあるモスクがヒンズー教徒の暴徒に取り崩され、その跡地にヒンズー教のラーマ寺院が建設されており、1月22日に完成よりかなり前倒しで寺院の落成式が行われた。その前後で落成をめぐって全国各地で教徒間の衝突が発生した。
地元の活動家によると、取り壊しにあたり事前通告はなかったという。ボンベイ高等裁判所は以前、露天商の立ち退きには、まずは事前通告をすべきであり、強制立ち退きは最終手段になるだろうとの判断を示している。
アムネスティの調査で、インドでは複数の州当局がイスラム教徒を対象に同様の懲罰的取り壊しを実施していることが確認されている。
アムネスティ国際ニュース
2024年1月24日
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