日本:法務大臣は死刑執行の圧力に屈してはならない

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2011年10月31日
国・地域:日本
トピック:死刑廃止
本日、アムネスティ・インターナショナルおよび死刑に反対するアジアネットワーク(ADPAN)は、「日本の法務大臣は、死刑執行の命令書に署名してはならない」と述べた。これは、法務大臣が、死刑執行の判断を行わない方針を先月に示したにもかかわらず、彼が「死刑を廃止する方針はまったくない」と発言したことを受けたものである。

平岡秀夫法務大臣は、金曜日に、有力政治家が彼に死刑執行の権限を行使するよう促したと報道された後、「個々の死刑事件について、自分が考えて結論を出す」と発言した。

「彼は先月の就任直後に、執行命令書に署名することは本意ではないと示唆しました。しかしその後、彼が執行に対する慎重な姿勢を示しているにもかかわらず、現在、執行を認めさせようとする圧力にさらされ、非常に憂慮すべき状況になっています。」と、アムネスティ・アジア太平洋副部長のキャサリン・バー バーは語った。

「法相は、日本における死刑の適用について、さらに慎重な検討がなされるまで死刑の執行は認められないとした、彼の元の発言を堅持しなければならない。」と彼女は付け加えた。

報道によると、藤村修内閣官房長官は、水曜日の衆議院内閣委員会において、平岡大臣に死刑執行に踏み切るように促すと発言した。

日本における最後の死刑執行は、2010年7月28日に執行された。その際には、東京拘置所において、尾形英紀さんと篠澤一男さんが絞首刑を執行された。

「死刑の在り方についての勉強会」は、千葉景子元法相によって2010年に設置された。この「勉強会」は、現在の平岡法相の下でも活動を続けている。彼は、死刑制度について、国際社会の潮流や国際的な世論も考慮しつつ、法務省内および国民的な議論を促していた。

この「勉強会」の報告書が出される具体的な見通しは明らかにされていない。

日本には現在、126人の死刑確定囚がいる。

日本では死刑執行は絞首により、通常秘密裏におこなわれる。死刑確定者は、執行されることを当日の朝に知らされ、その家族に対しては執行後に告知されるのみである。

このことは、死刑確定者がつねに執行の恐怖に怯えながら暮らしていることを意味する。何年、何十年もこうした暮らしを続けるうちに、「うつ」状態となり、精神障がいの症状を示す死刑囚もいる。

世界の3分の2以上の国が、法律上または事実上、死刑を廃止している。アジア太平洋地域の41カ国のうち、17カ国がすべての犯罪について死刑を廃止しており、9カ国が事実上死刑を廃止している。そして、1ヶ国(フィジー)が、例外的に軍法上の犯罪についてのみ死刑を存置している。

このことは、アジア太平洋地域において、依然としてこの究極的な取り返しのつかない刑罰を存置しているのが半数未満の国に過ぎないということを意味している。G8の中では、日本と米国だけが、いまだに死刑を存置している。

死刑は生きる権利の侵害であり、アムネスティはあらゆる死刑に対して、犯罪の種類や、犯罪者の特徴、国家が処刑に用いる方法に関わらず、例外なく反対する。アムネスティは日本政府に対し、死刑廃止に向けた第一歩として、直ちにすべての死刑囚を減刑し、公式に死刑の執行を停止するよう求める。

「日本は、死刑廃止に向けた第一歩として、直ちにすべての死刑判決を減刑し、公式に死刑の執行停止を導入すべきである。」とキャサリン・バーバーは述べた。

死刑に反対するアジアネットワーク(ADPAN)は、アジア太平洋地域の23カ国から、弁護士、NGO、ジャーナリスト、人権擁護活動家らによって構成される地域ネットワークである。

ADPANは、アジア太平洋地域のすべての国家において死刑の廃止をめざすキャンペーンを行っている。

アムネスティ発表国際ニュース
2011年10月28日