- 2012年2月 3日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:ロシア連邦
- トピック:変革を求める中東・北アフリカ
ロシアは、シリア国内で続く暴力行為と、人権侵害に対する各国の取り組みを阻んではならない。国連安保理事会でシリアに関する決議交渉が進む中、アムネスティ・インターナショナルはこのように述べた。
ロシア高官は、もし投票が行われた場合、決議に対する拒否権の発動をちらつかせている。
2011年10月4日、国連安保理事会の加盟国の数ヵ国が、シリアに関する決議に反対した。ロシアはそのうちの一ヵ国だった。アムネスティが入手した報告によると、それ以降シリアでは、2600人を超える人びとが殺されている。
「国連安保理のシリアに対する拘束力をもった決議に対し、二度にわたり採択を阻止しようとするロシアの脅迫的態度は、無責任極まりないものです。残忍な弾圧が野放しとなっているシリアの現在の事態について、ロシアは重大な責任を負っています」とアムネスティの国連代表、ホセ・ルイス・ディアズは述べた。
「ロシアは、他の安保理事国とともに、中身を伴った法的に拘束力のある決議を承認し、シリアにおける人権侵害を完全に停止させなければなりません」
アラブ連盟の監視団は、シリアの治安部隊が継続して人権を侵害している事実を、現地から報告している。にもかかわらず、シリア政府に対する最大の武器供給国であるロシアはここ数週間、シリアへ武器の輸出を続けていると言われている。
安保理が決議を承認し、シリアの悪化する状況を国際刑事裁判所の検察官に付託すること。そして、シリアに対する武器禁輸を課し、バシャール・アル・アサド大統領と他の高官の海外の資産を凍結することを、アムネスティは求めている。
この度、国連安保理で審議されている新決議案は、アラブ連盟が2011年12月にシリアに派遣した監視団の報告に基づき、翌月22日に採択した決議の内容を骨格としている。
アラブ連盟の決議文は、シリア政府と反政府派が、統一政府の樹立や治安の回復、警察の再編などの問題についての真摯な政策協議を2週間以内に開始するよう、要請している。
また同決議は、統一政府が独立した調査委員会を設け、シリア国民への人権侵害を調査し、責任者の処罰を徹底することを要求している。
シリア政府は、この提案を拒否している。
国連安保理の今回の決議は、今後取るべき道筋への一歩である。しかし決議案には、資産の凍結、国際刑事裁判所へのシリア問題の付託、包括的な武器禁輸への要求が含まれていない。
シリアで人道に反する犯罪が行われていることは明らかであると、アムネスティは考えている。これは数ヵ月前、国連の独立した国際調査委員会が明らかにしたことでもある。しかし決議案は、このような重大な犯罪のすべての容疑者たちに対する、独立した機関による、公平な調査を求める国連の委員会の明確な要求を反映していない。
「国連が、ついにシリアの危機的状況に対応する行動を起こそうとしていることには、大変勇気づけられます。しかし、決議案の内容はまだ不十分です」とホセ・ルイス・ディアズは述べた。
「シリア政府は10ヵ月以上にわたり、殺人、恣意的な拘禁、拷問、強制失踪を組織的に行ってきたのです。ですから安保理は、政府の責任を明らかにする明快な仕組みをしっかりと施策に組み入れ、この状況に終止符を打つことが必要です」
「安保理はただちに、悪化するシリアの状況を国際刑事裁判所の検察官に付託するとともに、アル・アサド大統領や幹部の海外資産を凍結し、同国に対し武器禁輸を行うべきです」
アムネスティはまた、他の人権擁護団体を含む国際人権監視団が、加害者が誰であろうと、人道上の犯罪や人権侵害行為に関する徹底した調査を自由に行えるようにすることを、要請している。
アムネスティ発表国際ニュース
2012年2月1日
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