- 2012年4月16日
- 国・地域:アフガニスタン
- トピック:
協定には、「詳細不明の人権機関が監視を行い、収容者の健康を外交上保証する」という付足しがある。しかし、収容者への拷問や故意の虐待の危険性に効果的に対応しなければならないとき、このような保証は、基本的に不十分で受け入れがたい。
実際、収容者に対する拷問や虐待は、依然として日常的に行われている。これは、2011年に国連によって報告された調査結果の情報を更新した、アフガニスタン独立人権委員会による2012年3月の報告で明らかにされている。
収容者の移送の完了には、6ヵ月かかる予定である。移送の指揮は、4月1日にハミド・カルザイ大統領によってバグラム収容所の司令官として任命されたファルーク・バルクザイ将軍がとっている。3000人以上の収容者がパルワンにあるバグラム収容所に残されているとされる。そしてそのほとんどが、アフガニスタン人である。
この措置の背景には、2011年10月10日に発表された国連の報告がある。報告書は、このアフガニスタンの収容所の実態を明るみにした。収容者は日常的にゴムホースで殴られ、性暴力の危険にさらされ、組織的に拷問が行われている。これらの対象者の多くは、反政府運動の容疑者である。
ほぼ10年間にわたりアムネスティは、アフガニスタンにおいて米国が行ってきた裁判なしの拘束を、「恣意的である」とし、懸念を表明し続けてきた。そして、抜本的な改革を必要とするが、武器による暴力の罪に問われている個人には、通常の犯罪司法制度を適用するべきだと主張してきた。
抜本的な改革が不可欠であるのは、アフガニスタンの司法制度が公平な裁判に関する国際基準をまったく満たさず、国際法のもとで有罪とされる個人、とくに市民に対する犯罪行為者を実質的に法廷で裁くことが行われていないからである。
「アフガニスタン政府は、これまで収容者を拷問や非人道的、品位をおとしめる虐待から守ろうとしてこなかったのです」と、アムネスティのアジア副局長であるキャサリン・バーバーは語った。
アフガニスタン情報局の国家安全保障理事会(NDS)は、タリバンとの関係が問題となった収容者の人権侵害や拷問、および国内の大規模な反政府行動で、悪評が高い。
米国あるいは他のいかなる外国軍が、収容者が人権侵害を受ける可能性があるにもかかわらず、アフガニスタンの管理下に引き渡すことは、それ自体、国際人権法及び人道法の義務に明らかに違反する。
アフガニスタン政府からの口約束でなく、実際に人権擁護の基準遵守を示す根拠が示されるまでは、収容者の移送を行ってはならない。
「特定の現実的な拷問の可能性を考えると、この協定がますます気がかりです。NDSに拘束されている者も含め、すべての収容者は弁護士と家族に面会でき、必要なときに医療を受けられるようにしなければなりません」とバーバーは述べた。
刑務所の移管あるいは囚人の移送協定を結ぶ前に、すべての収容者の権利を真に尊重する責任が、両政府にはある。
アムネスティ発表国際ニュース
2012年4月4日
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